一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
「……茉莉香は、そういう事にいつも気が付いて、保健室に連れて行ってくれて…。

同級生から名前や見た目でかわかわれたら、守ろうとして…。

そうやって一緒にいたら……好きに、なっちゃったんです。

茉莉香が男の人と……彼氏と、どうなっていくかなんて、わかっていたんです。
その時に自分はちゃんと、笑わなきゃって……。

だけど、もう……しんどくなっちゃいました。
何を頑張っているのかも、よくわからない。

結局、何もうまくなんていってない気がする…。

せっかく海まで来たのに、ひどい顔ですいませんでした。
やっぱり自分には被写体なんて…断るべきだったんです………」



ひとしきり話すと、涙が零れた。
両手で顔を覆ってはいるものの、きっと震えた声でクロエさんには伝わってしまっている。

クロエさんの前で涙を流すのは、もう3回目だ。

ずっと誰にも言わないでいた自分の秘密を、どうしてクロエさんには話してしまったんだろう。

謝ったり、こんな話をしたり。
自分がしている事は……もうめちゃくちゃだ。


クロエさんは重ねていた手を、そっと離した。
< 143 / 186 >

この作品をシェア

pagetop