一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
気持ちを察したかの様に、ライムとレモンはすり寄ってきた。
柔らかな体を撫でると、二匹は愛くるしい瞳を向ける。

だけど、自分の心はどこか別の場所にある様な……ぽっかりとくり抜かれたみたいだった。


「そっか、アオイちゃんもわからないか。
まぁ…クロエくんって、そういう感じはするよね。
人に相談をする様なタイプじゃない、というか」

「そうですね、そんな感じがします」

「……もしかしてクロエくんと何かあった?」

どうして、わかってしまうんだろう。
クロエさんも、姫野さんも。

本当は抱えているものをすべて吐き出して、楽になりたい。
だけど決して、姫野さんに話すような事じゃない。

「いえ、何もないです」

「大丈夫、無理に聞き出そうとは思ってないよ。
聞いちゃってごめんね。
さ、映画見ようか」

姫野さんにも見透かされてしまった。

この夏の間に、笑顔を作るのは下手になってしまった様だ。
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