一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
二回目のその夜は、一回目とは、まったく違うものだった。


クロエさんは言っていた通り………すべて聞いて、すべて答える様に言った。

「言って」と「狡い」を、何度も何度も言い合った。


でも、何よりも幸せな気持ちで満たされていた。




クロエさんの腕の中で、どうしてキスをしたり、抱き締めたいと思うのかを考えた。

言葉では気持ちを表現しきれなくて、でも身体からは気持ちが溢れてしまいそうで………。

その溢れてしまいそうな気持ちをどうにかしたくて、身体が動くんだろうか。
キスやセックスは、感情の副産物なんだろうか。


そんな風に考えてみたけれど、やっぱりよくわからなくて考えるのをやめた。


きっとこれは、理屈なんかじゃないから。




地球上にある、どこかの誰かが作った言葉なんかで、表せるようなものじゃない。


キスをしたって、抱き合ったって。


この気持ちには足りないから。
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