一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
その視線に責めるような圧はなく、自分の言葉を待っている。

もう、全部言ってしまおう。
言葉が足りなかったとしても。


「……クロエさんの写真を見て、良いなと思いました。
こんな写真を撮ることが出来るんだな、クロエさんの目には、こう映っているんだなって。

いま学校でデザインについて勉強しているけど、自分は何を作っても二番煎じで、すごく浅い……。
アプリケーションの操作は出来ても、個性がないんです。

だから、クロエさんみたいに表現が出来るって、すごいと思いました。
そんな風にいろいろ感じているんですけど、それを説明出来なくて……。

だからクロエさんの写真を見たって話しをした時も、何も言えませんでした。

こんな、って言ったらクロエさんは怒るかもしれないですけど……。
こんな自分が、クロエさんの様な人の被写体で良いのかなって思うんです。
もっとクロエさんの事や写真の事、被写体になるって事を理解してる人の方が、適しているんじゃないかって。

……すいません。
この説明も、きっと意味がよくわからないですよね。
本当に言葉が足りない……」


何度もつっかえながら、自分の思いを言い切った。

ネガティブな事ばかり言っている上に、最後の一言が自分で自分に突っ込みを入れている様で、情けなさを助長させる。
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