一夜の過ちは一生の過ちだった 【完】
五杯の所為
「にぎやかでも良かったら、うちに来て」
そう言われ、実家暮らしだと思っていた姫野さんは一人暮らしだった。
「アオイちゃんの都合さえ良ければ、明日にでもPCを見るよ。
PC見てる間、僕のPCを使って制作進めてて構わないし。
ただデスクトップだから、来てもらう事になっちゃうけど……」
姫野さんがそう言ってくれて、さっそくパーティーの翌日に会う事になった。
弟と妹が合わせて4人。
どんな家なんだろうと思いながらPCを持って向かった先は、どう見ても実家ではなかった。
一人暮らしにしては広めの間取りだけど、家族と住んでいるとは思えない。
「うちの会社、家賃補助が手厚くって。
通勤もしやすいから、ここにしたんだ」
そうでなきゃこんな所には高くて住めないと言って、姫野さんはアイスコーヒーを差し出した。
駅からここまでは徒歩5分程度だったけれど、今日は茹だる様な暑さで喉はカラカラだった。
「このアイスコーヒー、すごく良い香りですね」
「良かった。久しぶりに豆から淹れたんだ」
「すっきりしていて飲みやすいです」
そう言うと、姫野さんとの会話に割って入る様に猫達が鳴き始めた。