if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
俊のマンションは本当に大学病院から近かった。というより
歩いて10分もかからない。
マンションの駐車場に車を停めると、運転席を出て傘を差しながら助手席側の
ドアを開けてくれた。こちらに向けて彼が手を差し出し、どうしたらと戸惑う
私の手を掴むとしっかり握って来る。
とられた手の温かさに意識してしまう。
その手を離すと、当たり前のように今度は私の肩を抱きながら引き寄せる。
傘をさしてマンションのエントランスまで走るけど私たちは、
ずぶ濡れの状態だった。
エレベーターに乗り込んで、目的階を押すと再び私の手を掴んでくる
俊の手は大きく、私の手をすっぽり包み込んでしまう
ふたり黙ってエレベーターの階表示の数字をみつめた
5階の角部屋、2LDKのその部屋は新築の賃貸物件らしくカードキーを差し
込み扉を開けると、玄関に段ボールが数個置いてあった。
『どうぞ、入って』
「はい」
男性の部屋に入るのは初めてだし、かなり緊張する。私が玄関で立ち尽くして
いると、先に浴室だろう所に入った俊がバスタオルを持って来た。
『ほら、上がって。 はいタオル、だけどそのまま浴室に行った方がいいな。
手も氷みたいだ。シャワー使う間に浴槽にお湯がためて、ゆっくり温まって』
俊はそう言って私の手を掴み、包み込む
『そんなに警戒しないで。何もしないから』
彼の笑顔に私の胸がキュンとする
私の手を引きながら洗面室の中に入るとクルリと振り返る。
『洋服を乾かさないと、これ着てて・・かなり大きいけど』
俊に渡されたトレーナーとスエットパンツは大きそう。
「ありがとう」
『いや、そこに乾燥機もあるから使って』
顔を上げた私を見て、彼は意地悪っぽく笑うと耳元に顔を寄せてそっとささやく。
『なんなら、一緒に入ったりする?』
「はぁ?!な、なにを、、」
思わず瞬きを繰り返した私に
俊が、面白いものをみつけたように見下ろしてそのまま口元に手をあてて、くっくっと肩を揺らして笑っている