if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
午後からも検査が途切れる事なく入っていたのだが、片瀬先生がいないからだと
他の医師が不満の声を漏らしているのを聞いた。
私は出来るだけ神経を集中させて、検査操作を無事に終える事が出来た。
時計を確認すると、もう夜の8時になろうとしていた。
誰もいない医局に戻り、席について隣の机を見ると朝のままで、
俊の戻ってきた気配がない。本当にどこに行っちゃったのかしら?
その時突然、ドアを開ける音に驚いてしまう。
ドカドカと荒々しいその足音に、なんだか不安を感じてその方向を見た。
”大月先生?・・・何だかいつもと感じが違う?”
「お疲れ様です、大月先生、どうなさったんですか?
お顔の色が悪くて・・大丈夫ですか?」
顔色も悪いけど、悔しそうに唇をかみしめて俊の机を見ている。
「あの、大月先生?」
「アイツは僕を捨てる気なんだッ!・・僕がナニをしたっていうんだ?」
小さい声で唇を振るわせながら、俊の机に向かって言っている。
何なの? 私は 大月先生に得体のしれない恐怖を感じてその場を離れようとした。
「ちょっと待てよッ!! 君もちゃんと現実をわかれよッ!!!」
私に向けて大月先生が大声を出す。
私は大月先生の言ってる意味がわからず、眉根をよせた。
「何の話しなんですか?意味がわからないわ」
「片瀬の奴、今日は坂上教授のお嬢さんと一日デートだったって。
患者を放置して、僕の地位まで・・綾子は僕の彼女なんだ。それを」
「まさか、彼が・・そんな事をするはずありません」