if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

私の身体をすっぽりと包み込む俊の温かさを感じた。
私を宥めるように、彼の大きな手は私の背中を優しくさする。
髪に軽くキスを落とすと俊は、優しく微笑んだ。

『とにかく上がって、身体が冷えてる。後でちゃんと昔の話もするし、今日の事もしっかり話したい』


俊は私の手を掴み、指と指を絡める繋ぎ方をすると、部屋の中に誘導する。
私をソファに座らせると、そのまま俊も横に座って来て
そのまま私をゆっくり彼の大きな両腕で包むと、暫くして私の耳元でささやいた。


『薫、この怪我はどうして?』
「うん、、ちょっとしたトラブル」

俊は私の顔を覗き込み、真意を探ろうとする。
気まずい思いで俯く私に、俊はそれ以上聞いてこない代わりに、頭を抱えて項垂れていた。
暫くして私の傷の手当てを手際よく行い、再び抱きしめられた。

『まず、どこから話そうか。』
「教えて、美香さんのこと」
『ん? 過去の事だから、薫には話すつもりはなかったんだ。だけど、誤解してるようだしな、美香は大学の時の同期でね』
「・・?」
『たぶん、初恋の人だって思う』
「大月先生が俊から美香さんを奪ったって、、」

『ふたりは留学に行ってね、その頃に僕は自分の気持ちに気づいたかな?でも、僕はズルい人間だから告白さえしていない。結婚したって報告はあったよ。その時に、初恋だったな、、って思ったぐらいだよ』

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