if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
『ところで、薫、、その怪我の原因は、トラブルって? 』
「えッ? あ~ これね、実は転んじゃって、、」
大月先生にされた事は言えない。教授のお嬢さんは大月先生の恋人だと聞いた。それなら、今日、俊が一日彼女に付き合った事で不快な想いをしたのも、私には理解できるから。ただ、イキすぎた行為だったから、今後は二人きりなんて事がないように注意しなくちゃ。
その場を凌ぐための良い理由が浮かばず、困っているとスマホの着信が鳴る。
私のスマホからだ。
バックから携帯を取り出すと、ディスプレイを確認して、父親からだって事に驚いた
「・・パパ」
その場から少しだけ離れると、通話ボタンをタップする
「・・もしもし?」
「薫か? 私だ、お前、大丈夫か?!」
「どうしたんですか、こんな夜遅くに。何が大丈夫ですって?」
「いや・・それは。お前が大月に・・」
父親の様子がおかしい、こんな焦りながら電話をする父じゃない。
「パパ、大月先生に変な事を聞かされた?」
「・・お前が大月君と付き合っていると、結婚を前提にした付き合いだと。それでお前が心配で・・アイツは」
「パパ、それは違うの。すべて嘘よ」
「本当なのか?! 薫?本当に、うっ・・うっ・・・」
「えっ?パパッ! ねぇ、パパどうしたの?! 大丈夫?」
「ああ大丈夫だ・・少し胸が・・」
電話口で父から漏れるうめき声に、前に見た父親の体調の悪い姿を思い起こさせた。