if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

そう話しているところに 父から受話器を取り上げた義母が電話を代わった。

「薫さん! お父様、本当は大丈夫なんかじゃないんですよ!
お願いです、すぐにこちらにいらしてお父様を安心させてあげて下さい!」

「おい、余計な事を言わんでもイイ!」
遠くから父の声が聞こえた。


私の事を心配してくれていたんだ。行った方が良いのかな

「パパ、今からそっちに向かいます。夜遅いけど起きて待っててくれる?」
「・・・ああ、うん、来るのか」

スマホを閉じて後を振りかえると、彼が立って心配そうにしている。


『電話、お父さんから?』
「うん、何だか様子がおかしいの。今から行ってみるわ」

『僕も一緒に行くよ。君が心配なんだ』
「ダメよ・・だって父と俊は、、」
『教授との事は何も心配しなくていい。僕は君だけいてくれれば何も望まない』
「それに疲れてるのに、、」
『大丈夫だよ、僕は循環器の医者なんだから、タフだろ?』


彼の車は大学の職員駐車場に停めたままだったから、私たちは世田谷の私の実家までタクシーに乗った。タクシーの中で無言でいると、色んな事が思い出されて不安になってしまう。
そんな私に俊の大きな手が私を包んでくれた。

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