if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
母さんは すでに酔っ払って テーブルに伏して眠っていた
『まったく・・本当に自由人なんだから』
「クスッ・・」
『何だよ~ッ何で笑うの?』
「だって俊ったら、お母さんの事そんな風に言うけど、俊だって充分に自由人よ」
『えッ?僕が?』
「ええ」
『そうかなぁ~?』
今度は僕と薫が一緒に並んでキッチンに立った。シャボンをいっぱいにしてお皿を洗う。薫の鼻のてっぺんにシャボンの泡がちょっとついた。
両手が塞がっている彼女は、僕にそのシャボンを拭いてッテ・・可愛く言ってきた。僕はしっかり母さんが寝ているか、目視をした後、こっちを向いた彼女の顎に触れて彼女にキスをした。
”いつもより・・刺激的だよッ、カオルちゃん”
病院まで歩いても数十分で行ける僕のマンションだけど、今夜はさすがに母さんがいるから彼女を泊めてあげる事はできない。月明かりの道を、薫と手を繋いで病院まで歩いた。
『本当に今夜は当直室でいいの?』
「・・ええ、いつもそうだから」
『僕が当直室まで付いて行こうか?』
「大丈夫よッ!心配しないで、、他の先生もいるから、何かあれば大声だせるもの」
『そう?・・・残念だなぁ。薫が怖がってくれれば添い寝をてあげるのに』
「クスッ、、まったく」
『それに、うちの母さんのリクエストにも応えたいし・・ね? でもお父さんが元気になられたら、ひるまずにちゃんと薫を下さいって言わなきゃな?』
「・・・俊」
俊は夜空を見上げながら、そう言った後で私に笑顔を向けた。
『じゃあ良く眠るんだよ。おやすみ・・また明日な』
「うん明日ね、おやすみなさい」
薫が手を振って僕が帰るのを見送ってくれた。
・・・僕は、彼女を・・彼女の手をあの時、離すべきじゃなかったんだ