if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
彼と分かれて そのまま医局に行った。そして着替えを持つと、廊下に出て当直室に真っ直ぐ行った。私の後ろに誰かが隠れているだなんて夢にも思わずに。
今夜は 何だか静かな夜だわ
5部屋あるうちの当直室は、3部屋が使われていた。
でも救急が入っているのか、当直室の赤く光る使用のランプは1部屋だけしかついていない。
誰も使う事がないだろうと、一番奥の5番目の当直室に入ってドアを閉めようとした。その時、誰かがその閉めようとしたドアを強く引っ張り、咄嗟の事に声も出せなかった。
私の口から入る気体に何か嫌な臭いがすると、遠のく意識の中で、あの男の顔がぼんやり見えた。
大月先生は私に乱暴をしようとした日を境に休んでいて、一度も会うことがなかった。気をつけなければと思っていたはずなのに。まさか、、
朦朧とした意識の中で、男が私の上に馬乗りになり両手を動かないように掴まえていた。
ナニ・・・ナニが起きてるの?!恐怖の時間でしかなかった。
無理にキスをされ、それを拒むと顔を殴られた。
顔を左右に振って抵抗はするけれど、声が出ない。片方の手は縛られもう片方の手首を掴まれ、ちぎれそうに痛い。身体を動かそうとしてみるけど、ずっしりと重く自由もきかない。
ベッドに身体を押し付けられながら、私のブラを乱暴にたくし上げると冷たい手が乳房を掴んだ。片方の胸に顔を埋める男の生温い吐息がかかる。
かすかに目が開いたとき、その大月の眼差しは情欲の色を浮かべていて虫唾が走った。
太腿に触れてきて、ゆっくりと撫で上げる。下着の上から私の足の付け根を触れて来ると、背筋にひやりと冷たいものが走り、湧きあがってくる嫌悪感に薫は顔をしかめ、一生懸命に大声をだしたつもりだった。下着を下げられ、力の限りに抵抗をした時、顔面への衝撃で意識を手放した。
やけに静かで真っ暗な部屋で、耳鳴りと激しい頭痛、そして朦朧とする中で目が覚めた。唇を手で触ると切れていた、頬だって腫れている。あの生々しい感触と恐怖は消えていない。
私の衣服は乱れて、ボタンだって引きちぎられていた。
身体を動かしたときに感じた下腹部のズンとする痛みとだるさに明らかに暴行を受けた後だった。
あれは大月先生?
あまりにも酷すぎる。
まだまともに動かない身体を、必死に動かし急いで当直室を出る。
早朝の更衣室は誰もいない。破れた衣服を脱ぎ、置いておいたスクラブに着替えると上からコートを羽織った。