if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
彼とは 挨拶を交わして別れたはずだった。さすがに今日出会った男性の車に乗るだなんて事できない。
薫が苦笑いを浮かべていると、彼はそれを察したように言ってくる。
『不審者でもないし、僕は紳士だって思えない?信じてほしいなぁ。
君は急いでいるようだし、こんな天候の中、タクシーだって捕まらないよ』
彼はそう話しながら、爽やかな笑顔を私に向ける。 ヤバいってば、その笑顔。
雨だし急いでるし、取ってつけた言い訳をして彼の好意に甘える事にした。
「それじゃ信用してお願いします」
私も彼に笑顔を向ける。
彼の話し方、それにその雰囲気が 私を油断させる? 普通なら考えられない。 まだ知り合って間もない男性の車に一人で乗るなんて、、
そんな事を思いながら助手席に座りシートベルトを締めた。
『行先はどこ?』
「実家なんですが、世田谷の方で」
『了解。近づいたら道案内お願いするよ。まずは向かおう』
そう彼は言うなり静かに車を発進させた。
インストメンタルな静かな曲がかかる中、降り続ける雨も本降りになってきた。
フロントガラスから視線を横に向けると真剣な表情で運転している彼の横顔をつい見てしまう。
暫く沈黙が続いていたのに、突然に彼が話してくる
『ドレスから着替えると、また雰囲気が変わるね』
「えッ? ああ」
そうよね、私服は地味だし、、と気落ちする。
なのに彼からの言葉に焦ってしまう