if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
「・・キスしていいわよ」
彼女は僕の首に手を回したまま、男を誘う魅力的な瞳をした。
確かに、、少しドキドキしたのは事実だ。 何せ、こんなシチュエーションは久しぶりだから。
『・・・・しない』
「えっ? 今、しないって言ったの?」
僕の返答に驚く彼女に首を縦に振ってみせた。僕の首にかかる彼女の腕を取り除くと、彼女は驚くように目を見開いて瞬きしている。
「あ・・あなた、変な人だわッ!私がキスさせてあげるって言ってるのに、アッもしかして、同性愛者の人?」
『は?いやいや、、至ってノーマルだよ』
「へぇ~ それなら、、」
プライドが傷ついたのか、僕にそう言って彼女から顔を近づけてきた。それをすかさず交わす。
『やめろって!ほんと変かもしれないけど、僕は彼女でもない女性とはキスしないタチなんだ。だからね、君がけして魅力的じゃないってワケではないからさ』
「ふ~~ん、彼女じゃなきゃキスしないんだ」
運転を彼女と代わると、彼女は助手席に移動して、さっきの勢いもなくなって急に黙り込んだ。
僕は、いっぱしの説教なんかしてみたくなった。
『あのさぁ・・此処はアメリカだよ、何が起きてもおかしくない。
さっきのような男達は ゴロゴロしてるし・・君ね、少し・・』
そう言って彼女の顔を見たら、頬を涙がつたって流れてる姿を目にしてしまい、その後の言葉が言えなくなってしまった。
『どうした?・・何? なんで泣いてる?』
「・・・・・」
『なぁ、あの・・その、まぁな・・何も泣かなくても』
「寂しいんだもん。みんな、私の事、ちゃんと見てくれないから」
『えっ?ああ』