if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

「はい、あーん」私の言葉で小さな可愛い口を開けた優人は、大好きな離乳食にかぶりつく。「まんま!」可愛い声で覚えたての言葉が出てくると、微笑んだ。

優人がお座りできるようになって、それからハイハイできるまでに、私もそろそろ社会復帰を考えなくちゃって思ってはいた。
いつまでも実家で父親や義母に甘えているわけにはいかない。
出産する前は体調が本当に悪くてどうにも出来ず、実家の行為に甘えさせてもらっていたから。

優人が6ヶ月になった頃、一代決心して、親子だけで暮らすようにした。
義母も迷惑じゃなく、出て行かれると寂しいから ずっとこの家で暮らして欲しいってお願いされたけれど、私の我が侭だった。
”自分で決断したのだから親子だけで 暮らしたい”そう言って実家を出た

あれから1年、なんとか親子の生活のパターンはつかめたけど今度は私の社会復帰が迫っていた。
自宅からそんなに遠くない所の保育園に優人をあずける事も決まった。
来週からは一週間だけ、時間で優人をあずける ”試し保育” が予定されていた。

優人も最近は少しだけ人見知りが強くなって、私の腕の中から離れると泣いてしまう。泣かれてしまうと、後ろ髪を引かれる思いだけど・・優人には最初の試練なのかもしれない。

保育園には、いろんな家庭の事情で保育をしてもらう人がいるみたいだった。
一緒に面接した隣の親子は、離婚された方だった。その横の親子は、何度も何度も引っ越しをしてやっと落ち着いてこの保育園に来たって言ってたっけ・・・。
母親じゃなくて、父親が面接に来ている親子もいた。

きっと優人が生まれてこなかったら、ここで出会うなんてなかったのかもしれない。神様は私にいろんな出会いを用意してくれているのかもしれない。


< 173 / 246 >

この作品をシェア

pagetop