if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

「ありがとうございます」

私がお礼を言うと、その先生は「ちょっと待っていて下さい」と言い残し走って行った。
”ナンなんだろう?” 私は意味がわからず、それでも理由があるのだろうと先生を優人と一緒に待っていた。
暫くすると、さっきの小児科の先生が白衣を脱いで私服姿で現れた。

「さぁ、行きましょう」
「・・はい?・・・あの何処へ?」
「あれッ?・・・あれ?木村先生が言ったんですけど・・薫先生は歩きだろうから、ちゃんと診療が終わったら家まで送ってさしあげる事・・って」
「はい?・・・ナンででしょう?まったく木村先生ったら」
「それでも、今日は準備しちゃいましたし送らせて下さい」


参った。本当に木村先生、木村君のする事はワケがわからない。
私と優人は その小児科の先生、お名前は坂本先生に送ってもらう事になった。

丁度、泣き疲れた優人が眠りに入って、この頃の優人はどんどん体重が重くなって、私がやっと抱っこして歩けるぐらいだったから、少し助かる。子供の成長は怖いぐらいに速い。

坂本先生が私の前に立ち止まり、手を広げて目配せした

「・・はい?」
『僕が優人くんを抱っこしますから・・』
「あっ・・いえ、大丈夫ですから・・」
『子供は寝ちゃうと重いでしょ? ほらッ・・僕にどうぞ』

私から強引に優人を奪うようにして抱き上げる
小児科医だからか、なんだか抱き方も上手なのかしら
優人を軽々抱きながら歩きはじめる。

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