if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

後部座席のドアを開けて、私が最初に乗るように誘導してくれた。
シートベルト締めてから、腕の中に優人を抱かせてくれる

「優人くん、ぐっすりだね。 良い子だ」
「・・ええ、ありがとうございます」

坂本先生が私に思いっきり笑顔を向けてくれた。そして運転席に向かう
そういえば、ずっと男性の目を見ないようにしていた。
そんな癖がついていたかもしれない。

坂本先生の笑顔がとっても優しくて、少しだけ安心できた。
自分の子供を誰かに抱いてもらいながら、その横に寄り添って歩くなんて、そんな簡単な事でさえ、私には難しかったから・・。


「家はどちらですか?」
「あっ港区の・・○×△なんです」
「そうなんですか?! そりゃ偶然だなぁ。僕の家もかなり近くなんですよ。僕はひとり暮らしだから、そんなに大きなトコじゃないですけどね」

交差点の信号待ちで、坂本先生が後を振り返って言った

「本当なら、夕食でもお誘いしたいけど、今夜は止めておきます。優人くんの調子が戻ってから、僕の許可が出てから・・ですね?」
「えッ・・・あ~」
「木村が教えてくれたんですけど、薫先生はそう簡単に”うん”って言わないから、しつこく何度も誘わなくちゃダメだろう・・って、そうなんですか?」

「はい?そんな・・私なんて誘われた事だってないし、まったく木村先生は」
「アイツがいい加減な事を僕に言ったんですかね? でも、それじゃあ本気に薫先生をお誘いしてもイイですか?」

「・・あの私、忙しくて・・それにこの子もいますし」
「忙しくなくなるまで待ってますよ。それに優人くんはもちろん一緒でネ」
「あっ・・・はい」

バックミラー越しに視線が合う

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