if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

サンフランシスコのグラッドミンストーン医学研究所から嬉しい連絡が入った。
僕の研究していた事が認められて、是非、学会発表をして欲しいと要請が来た
一緒に研究してきたチーム全員が大騒ぎだ。


「凄いよッ!Dr片瀬、今年はトロントで心臓サミットがあって、その後に日本で循環器学会と学術集会だってさッ! 世界的な学者や技術者が集まるから、もう考えただけで武者振いがしてくるよッ!」

パートナーのポーズン博士が僕にそう言って来る。
僕の夢だった事が前進するであろう出来事になるはずだ。
でも、日本に?

日本に戻れば、僕は、僕の感情はコントロールできるのか? 自信がなかった。だから、けして日本に戻る事を考えた事がなかった。
田舎に残した両親には本当に、半年に一回だけ短い連絡を入れた。
母さんが一度だけ 薫の名前を口にした事があった。
僕の様子に、それ以上は言わなくなった事が反対に申し訳なかった。

「・・・俊ちゃんもイロイロあるだろうけど、本当に大事なモノだけは手放しちゃダメなのよ」

そう言われてから、僕は母さんに明確な返事が出来ていなかった。





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