if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

1Fのフロント階に着いた。僕は新聞をたたみながら、エレベーターが開くのを待った。扉が開くと大勢の人がエレベーターに乗り込むのを待っていた

僕が出て歩きはじめると、何気に横を見た。その甘い香りに一瞬過去が蘇る。顔こそ見えないが、子供を胸に抱き話しかけていた。
僕はそのまま、その親子の横を通り過ぎ、聞こえて来る声に足を止めて振り返らずにはいられなかった


「優人・・眠いの?」
その声は薫に間違いなかった。
その親子はエレベーターに乗ってしまった。顔は確認できない
僕はとにかくそのエレベーターに乗ろうと走ったが 扉が閉じられてしまった。

”今のは・・・薫だったよな?!”

もしかして、幻だったのだろうか? いや、間違いない、薫だ、薫の声だった
上の階に行ったって事は このホテルに宿泊してる?
僕はフロントに急いだ、そして確認しようとした

『宿泊者の中に、女性で大澤薫って名前がありませんか?彼女の部屋は?!』
「お客様、あの・・・プライバシー保護の観点からお答えできません」
『知り合いなんです!どうしても・・』
「お客様・・・・無理ですね」


僕は ホテルの部屋の充電したままのスマホを思い出した。
そのまま 一目散にホテルの部屋に帰ると、充電中のスマホに電源を入れた

明るくなったディスプレイ 2年前にセットした待ち受けが出た
薫と一緒に撮った箱根の歓迎旅行での2ショット
二人顔を寄せ合ったフォトが

薫の携帯ナンバーを検索して 浮かび上がる。
僕はそのナンバーをためらうことなく押した



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