if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
私は 俊に突然に逢って 自分自身がコントロールできないでいた
心構えが出来ていなかったから?・・ううん、違うわ
俊にいつか逢ってしまったら・・どうしようっていつも思ってたから
会場から出るとき、私には迷いがあったのは確かだ。
だからか、私の歩く速度が遅くなって、とうとう足が止まってしまった。
なのに、泣きたくなるほど胸が高鳴る。
立ち止まる私に振り返り、俊はフッと微笑むと私の手を掴んだ。
手から伝わってくる俊の体温に、胸がつぶれそうだった。
周りの人が見ていようが、どんな風に思われても関係ない感じで
俊は私の手をしっかりと握り足早に歩く。
私は彼の後姿を何度も何度も見ながら、歩調に合わせて歩いた。
脳がそれ以上の思考を拒否していた。考えたら、私の足は動かない
彼の宿泊するホテルだろうか・・ 黙ったままエレベーターを待つ。
自分のしている事が嘘のように思えた。
何度も泣いて、眠れない夜に思った俊がそばにいる。
部屋の前についてカードキーを差し入れた。
ガチャ・・ロックの外れる音がして心臓がドキッと跳ねる。それと同時に、私の心の扉のロックが外された気がした。
ホテルの部屋に入って、彼が私の手を繋いだままじっと前を向いて立ちすくんでいた。
私は不安になって 彼に声をかけると
「俊?・・どうし・・」
突然に彼が私に振り返り私の身体を包み込んだ。
それも 力いっぱいに。
「俊?」
『・・ごめん』