if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

私のうなじにまわされた手が、しっかりと私を離さない。
涙目で俊を見つめると、ゾクッとするような煽情的なまなざしに掴まり、誘われるように口づけた。
涙が溢れた・・・・ ああ・・・・あなたを愛してる・・・・・

何度も何度も角度を変えて、ゆっくりと舌を交わらせ時折唇から甘い声が漏れ、艶めいた水音を立てながら舌を絡ませられる。
「んっ……!」
私が少しでも抵抗すると、その意思をすかさず摘み取られる。
「ふぅ…んっ」

深く唇を合わせながら身体をベッドに押し倒してくると、私の上で組み敷いた俊が膝立ちしながら、ジャケットと脱ぎ捨てると、シャツのボタンをはずす。
俊の逞しく均整の取れた体躯が見えた。私に色香漂う視線を向けるとネクタイを乱暴に抜き取り、その様子を薫も目にして恍惚として両手を彼にのばす。

『薫、、抱くけどいい?』
俊をみつめてコクンと頷く。

端正な顔がゆっくりと落ちて来たのを最後に、幸福に包まれた私は思考回路が止まったようだった。
組み敷いた俊の上体はすでに裸で、私の素肌に密着していたし、絶え間なく押し寄せる快楽の波にさらわれて、もう息すらつけない。

「あ、んっ」
強い刺激に吐息がこぼれてしまい、私の手は助けを求めるように宙に浮く。その手を彼は自分の首の後ろに回して、再び私に啄むようなキスをした。
合間に何十回とされたキスだとか、名前を何度も呼ばれて、そのたびに高鳴る鼓動。

覚えてる。愛しいこの手、この瞳、この唇
彼の下で受ける堪らない悦楽に朦朧とした時、せり上がる甘い痺れと一緒に彼の凶暴な昂りが私の中心を貫いた。
「やっ、あっ、あぁっ──」

身体を繋げたまま、覆い被さってきた彼は私の耳元に唇を押し当てて名前を何度も呼ぶ。
『薫、、薫、』

激しく腰を叩きつけ、重ねた手に力が込められる。
彼の視線を感じて目を合わせると、目を細め吐息をもらすと『愛してる』と口にした。

確かに私の愛している俊だった
ずっとずっと・・・あなたを愛していたの。
言葉に出せない私の気持ちを溢れさせながら あなたに向かう
ただあなたを愛してる事だけは真実だから、今だけは溺れてしまいたい。



薫、・・薫・・・愛してる・・君だけをずっと愛してた。
何度も何度も 君に伝えたい。
長いキスのあと、わずかに頬を上気させた彼女は、とろんとした目で僕を見つめる
わずかに離れた唇の隙間から薫から聞いたことのない艶めいた吐息を漏らす。
それが情欲を掻き立てられ、むさぼるように彼女を抱いてしまった。
たとえ、今 薫に誰がいてもかまわない。
薫だけは手放せない。


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