if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
「・・舞子、あのね」
薫の言葉にかぶせるように、横にいた舞子が僕の腕を強く抱きしめながら笑顔をつくる。
「俊先生ってお姉ちゃんの彼氏だったんだってね、でも、昔の事でしょ?今では私が俊先生を好きなの。お姉ちゃんは子供も、今は愛する人もいるのに、俊先生を誘惑しないでよ」
『舞ちゃんッ! 何を言うんだよ。違うだろ!』
「俊先生! 私は本気よ。俊先生が好き」
舞子が真剣な表情で僕をみて言った
『舞ちゃん、聞いてくれ、僕たちは、、』
舞子が僕の話を聞こうとせず、薫を鋭く見て言った。
「今日は、お姉ちゃんに俊先生、譲るけど、これからは嫌よ」
舞子はそう言うと、そのままこの場から立ち去った。その後ろ姿を薫が追いかけようとしたけど、僕はそれを止めた。
薫は舞子の言葉に困惑したんだと思う
そんな落ち着かない様子をみて僕は薫を部屋に連れて行こうとするが、
首を横に振って泣き出しそうになる。
僕は薫の手を強引に掴んでラウンジを抜けると、停まっていたタクシーに薫を座らせ、自分も隣に乗り込んだ。
『・・・港区、○×まで・・』
タクシーの運転手に伝えると車は走り出す。
なぜ?と聞けもせず、俊の表情を読み取ろうとした。俊はずっと私の手を離さなかった。