if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
優人の病状の経過は順調に回復に向かい、3日後には自宅に帰っても良いと医師より許可をもらった。
優人は意識がしっかり戻って、昨日から食事も始まり徐々に元気も出て来た。僕の顔をみて、最初こそは人見知りしたけど、いつの間にか僕の顔を触ったり、抱っこをせがむようになったのが嬉しい。
薫は極度の緊張のためか、緊急搬送された当日は一睡もしておらず顔色も悪かった。2日目は母さんが優人に付き添って、薫を休ませることにした。3日目の今日は退院できるのだが、顔色の悪い薫の身体が心配で
『薫、少しは休んだ方がいいよ。僕が優人を見てるから、君が倒れてしまいそうだ』って言っても「うん、大丈夫、この点滴が終われば帰れるから」って無理をする癖がついている薫をみてしまう。
『薫?今日は自宅に帰ってから、また無理しそうだなぁ』
「え、、大丈夫よ。優人さえ元気になってくれたら、私は頑張れちゃうもの」
『はぁ~ どうやって君を甘やかそうか?』
僕は薫の身体を抱き寄せようとした。ソファに無理にでも休ませようとしたんだ、、がその時、病室のドアをノックもせずに開けた音にその手を引っ込めた。
「俊ちゃん!大変ッ!! あのね、薫ちゃんのご両親がこっちに向かって来てる!」
そんな風に言って母さんが慌てて入って来る。
そして僕の様子に苦笑いをした。
『あ、あのさ、ノックはしようよ!』
「そんな事言ってる場合じゃないわよッ! 今、ナースステーションの前だからね。俊ちゃん、あなた大丈夫?」
薫が母さんの言葉に僕を見た。
『ああ、問題ない、全然、大丈夫だよ』
母さんは「それなら私はホテルに帰って休むわ。またの機会にご挨拶した方が良さそうだから」って言って、僕たちの様子をみて安心して微笑んでいる。
僕と薫に手を振ってさっさと部屋を出て行った。
部屋をノックする音に薫が返事をする。