if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
待ち合わせ場所の近くのソファに腰掛けて、僕の姿を探す薫に駆け寄った。
『薫』
「あッ、俊、ごめんなさい、遅くなってしまって」
僕が君を呼ぶ名前に薫が振り返ると、笑顔で僕の名前を呼び返した。
そしてソファから立ちあがる薫が言った
「ここにいないから間違えちゃったのかって思って」
僕は薫がそんな言葉を言い終わらないうちに、薫の身体を引き寄せぎゅと抱きしめた。
「えッ、俊、どうしたの?」
僕に抱きしめられた薫が 戸惑いながら僕に聞いて来るけど、
『いいや、何でもないよ。ただ、薫にこうやって触れていたいだけだ』って返すと、彼女からもぎゅと返してくれた。
薫から少しだけ身体を離し彼女の瞳を上から見下ろした。一度だけ僕を見上げた彼女は微笑むとその瞳を下げる。瞳はやっぱり涙で潤んでいたし、ちょっと赤かった。
会えずにいた3年もの間も僕の心に薫はずっといて、再会してからは胸から込み上げてくる熱い感情に喉が詰まりそうだった。薫を他の誰にも触れさせたくないし、誰にも渡さない。
優人が僕に手を伸ばし、その身体を抱き上げると搭乗口に歩いた。
僕の横を歩く薫に微笑んだ。