if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

上階へと昇るエレベーターの中は二人だけ。乗ったカゴは最近では当たり前のローラーガイド装置のためか振動もなく滑らかに上昇していく。
『今日は何でこのホテルを?』
「たまに使うホテルなの」

そう言った薫に、もっと詳しく聞きたくて顔を覗き込んでみると、さっきより
顔色が悪い。動いたせいか、酔いが回ったのか?

エレベーターの扉が開くと、僕は彼女を支えながら5011号室を目指した。
黙ったままの薫を部屋の前まで連れてきた後、カードキーをセンサーにかざして
開く音がした。

『、、どうぞ。」

薫は僕の言葉に、頷くと部屋の中に入り僕の方に振り返る。

「どうもありがとう。 ご迷惑か、、」

薫が言葉を言い終わらないうちに、僕は薫の頬に触れていた

「、、あの、、、」

驚くというか、戸惑った表情の薫に僕は言った


『あまりに顔色が悪いから心配だ。良かったら、ベットまで連れて行こうか?」』
「・・・本当に、眠れてないだけで、お酒のせいもあるかと」
『本当に気になるだけなんだ。部屋に入るよ』


僕はそう言うと、膝裏と背中に腕を差し入れ薫を抱き上げた
いわゆるお姫様抱っこだ。
薫は、小さく悲鳴をあげると、慌てて僕の首に手を回してきた。

『そう、しっかり捕まって。暴れると落ちるよ』

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