if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

アルコールは一種の麻酔薬だから、高い濃度を摂取すると脳が麻痺して自分の言動を記憶できなくなったり、意識をなくしたりするけど、アルコールの麻酔効果って、脳の活動が低下しストレスを感じにくくなり眠れるんじゃないかって、そんな小難しい理由(いいわけ)を考えた。

ただ、女性が一人っていうのは、やっぱり目を引くのだろう。
気持ちよく飲めていたのに、、


「ねぇ、一緒にどう?」
ちょっとチャラい感じの男性が、虎視眈々(こしたんたん)という風に傍に寄って来て私は思わず顔を背けてしまう。

「いえ、結構です」

男性の手が肩に触れて、思わず私の皮膚が粟立つ。暫く無視をしていたが、
自分も飲みすぎてしまった感があったから、隙をみせないようにしていたのに。


でも、偶然にも彼に再会できた。 名前は確か、カタセシュンさん?って言ってたかしら。そういえば、彼の電話番号を登録せずに、そのままにしてあったと苦笑いしてしまった。

彼の胸の中に引っ張られて驚いたし、見上げた彼の表情から目が離せなかった。
腰に触れられた時は、自分の心臓が跳ねた事にも驚いた。こういう事をさらりと出来るなんて、彼は恋愛経験が豊富なのだろう。いや、間違いない。


結局、あれやこれを考えている私はこの夜、目が冴えて眠れないっていう
状況に陥った。
そして、私はまだ この時、すでに廻りはじめた
私たちの運命に気づく事さえなかった。


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