if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
第2章

運命

〔運命〕


いつもように朝が来て 目覚ましの音で目が覚める
まだボーッとした頭のまま うつぶせの状態でまどろむ

”俊ちゃん! ほらッ・・起きてッ! 今、何時だって思ってるの?!”

どうしたもんだろう。
最近は思い出さなかった記憶が、僕の頭の中で勝手に再生される
もう、あれから 何年が過ぎたんだろう?
美香の笑顔を見ることがなくなって。


あれが恋だったんだって気づいて、振り返った時にはもうすでに過去になっていた。”もう恋は当分しない”なんて・・思っていた時期もあったけど。
昨夜の出来事のせいで 思い出したんだろうか?



僕の学生生活は本当に貧乏だったから、本当は電車で通学するとこを、自転車で
通ったりもした。そんな事を思いながら、自分の卒業した大学の職員用駐車場に
先日購入したばかりの車を駐車した。
ずっと研究ばかりしてる頃は、とてもじゃないけど高価な車は手が出なかった。
市中病院で勤務医となった数年間で、やっとそれなりに自慢できるような車を手に入れて自己満足している。

僕の医師としての人生はずっとこんな感じだし、できれば多くの患者が診れて
救う命があれば良いんだろうって思って来た。
まさか、また自分が慶生大学病院(ここ)に戻って来て現場の先端で、臨床と研究ができるだなんて思ってもみなかった。
教授の派閥争いを考えさえしなければ、なんて幸運なんだろう。


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