if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
第1章

出会い

〔出会い〕

地上45階から眺める大都会の夜景
明るいピンクカラーのカクテルドレスを纏い、ボーッと窓の外を眺めている
背筋の伸びた真っ直ぐな姿勢で、黙っていても目立つのだ。
そんな彼女に似合わない言葉がつい出てしまう。

「はぁ~疲れたなぁ。帰りたい」

大澤薫(オオサワカオル)29歳 
幼い時には両親の勧めで私立のエスカレーター式お嬢様学校を順調に進み
親の影響で医師を職業にしようと、医学部を目指した。持ち前の真面目さで
6年の大学生活後にストレートで医師国家試験に合格した。
2年の初期臨床研修を終え、現在勤務する大学付属病院で循環器内科の
医師をして3年目になる。

性格は穏やかで真面目、本人は気にもしていないが、
周りに美人認定をされている。165センチのスレンダーでありながら
メリハリのあるバランスのとれた体形で色白、清潔感抜群の彼女からは
甘い香りが漂ってくる。

小さな顔に綺麗な二重のクルリとした瞳、エクステの必要のない長いまつげ
形の良い鼻に、微笑むと可愛らしい唇だ。
ショコラブラウンの毛先だけゆるふわのウエーブヘアでセミロングの髪を
いつもはきっちり後ろで束ねているが、今夜はサイドの後れ毛がセクシーな
シニヨンスタイルだ。
しかし、こんな美人の薫でも女医であるがゆえに、薫に対して男たちの
ハードルは非常に高い。
今までにしっかりと交際したなんて事は殆どなく、恋愛初心者であった。

さて、女医である薫が、なぜこんな高層ビルでドレスを着て
ため息をつきながら浮かない顔をしているのかといえば
それは今日の仕事終わりの出来事が原因だったのだ。

本来は同期の女医で友人の山口奈々子(ヤマグチナナコ)が参加を予定
していたが、パーティーに突然に出席できない事態になった。
奈々子はこのパーティーのサクラのバイトだったのだが、この日
階段から足を踏み外し怪我を負ったのだ。

「今からバイト?この足で?おまけに出会いの企画って何?」
薫は足の治療中の奈々子にむかって呆れたという顔をしてみせた。

「だって、、今回は彼が企画したし、、彼の頼みだったから・・」
バツが悪そうな顔をして奈々子が言う。
奈々子の交際中の彼は男女の出会いを企画し、実際に提供する会社の社員だった。

「だからって、なんで奈々子がその出会いのパーティーに参加するのよ!」

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