if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

廊下から何だかうるさくガヤガヤした声が聞こえて来た。医局のドアが開くと、その声が研修医達だって事がわかる

「はい、此処が我が慶生大学医局でーす! 僕たちは研修医なので、
あっちの席なんですけど。えっと大澤先生のお席は・・・あっちですねッ!」
「どうもありがとう。あちらね?」

研修医の男達の声と、かすかに女性の声が聞こえてきた。大月が何かを思い
出したように、その声のするほうに行った。
僕は自分の椅子に座ると、持って来た本をバックから出して身の回りを整理する
事にした。声だけは聞こえてくるから、耳を傾ける。


「大澤先生ですか?」
「はい、そうです」
「お待ちしていました。循環器内科の大月です」
「ああ、大月先生ですね、父から聞いてお名前だけは知っておりました。
今日からお世話になります。宜しくお願いします」

「ええ、宜しくお願いします。さぁ、早速机にご案内します」

こっちのブースに向かってる?ああ~ッそう言えばさっき大月が言ってた
新入り。今日この大学の医局に入局したって言ってたな。
女性か、お隣さんだし、指導もって・・


「大澤先生、あはは・・学長を呼んでいるようだ。
 お名前で、薫先生と呼んだ方がいいですね」

「はい、何とでも大丈夫で・・す」

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