if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
「本当はこの空の上に満天の星が輝いてるのに
自分の力だけでは、見えるだけの光が放てなくなったのね」
『都会じゃ、あまりにも光がありすぎて空が明るいし、ましてや
空気だって澄み切っていないから・・』
「いつか、しっかりと光を放てる日が来るかしら?」
『うん・・・その光は場所を選べば』
薫を見ると、星も出ていない真っ暗な都会の空を見上げていた。
その横顔に俊は胸の高鳴りを覚えた。
『星を見に行こうか?』
「えッ?・・どこへ?」
『見えるところ・・』
「えッ?聞こえないわッ・・何?」
風がイタズラして、僕の声がかき消されている。彼女の耳に近づいて言った
『明日の予定が入ってるんだったら 今のうちにキャンセルして
温かいお弁当と胃薬のお礼に、最高な星空をみせてあげる』
「はい?・・明日の予定?」
『うん、何かある?』
「今のところは・・ないですけど・・」
『じゃあ、決まりッ!』
そう言うと、アクセルを踏み込んで真夜中の高速道路へ入った