if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~

大月直也(オオツキナオヤ)34歳 バツイチの独身。今は慶生大学病院の循環器内科の
准教授である。教授に一番近い場所にいると噂される男だ。
174センチで、やせでもないマッチョでもない如何にもニュートラルな雰囲気を醸し出している。黒色の短髪に銀縁メガネをかけ、いかにもインテリっぽい。
バツイチ? 若い頃に 中畑美香と結婚してわずか一年で離婚した

大月と美香、それから俊は 医大の頃の同期だった。そして、美香は俊に好意を持っていた。
彼女は自分の気持ちをアプローチすることがあったし、それを大月は目にしていた。煮えきれない俊の態度も知っていたが、美香に対して少なくとも好意を持っているのだとわかっていた。
医大を卒業してから転機が訪れたのが海外留学だった。技術の習得を目的にしたもので、優秀で若い医師を海外の大学へ招待するものだった。美香は容姿だけでなく学力も備わっていたから、彼女がまず留学を決めた。
残されたイスはひとつだけ、ただ俊ではなく大月が選ばれたのだ。

一年間のヨーロッパへの留学、その期間中に大月は美香に猛アプローチをして二人は結婚をした。
大月は勝ち誇ったように俊に結婚の報告をする。

「片瀬、美香と結婚する事になったよ。祝って欲しい」
『大月、おめでとう』

大月は確かに美香を好きだった。
しかし、美香を自分の方に振り向かせたかった。それが一番大事だった
俊とは医学生の頃からのライバルで、自分の方が経済的にも恵まれていた。
俊はバイトに明け暮れ、サークルだってなかなか顔を出さない奴なのに、
それでも時に顔を出すと異様に盛り上がる仲間や後輩達に苛立ちを覚えた。

嫉妬だと認めたくなくて、大月はずっと我慢してきた。
自分に訪れた幸運、美香に全力でアプローチして首を縦に振らせ自分を選んだ事を彼に伝えたかった。

留学中の出来事だったから、大学の同期などは殆どふたりの結婚を知らない

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