if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
『何だか機嫌が悪い?』
「、、悪くありません」
『何かあった?』
「まったくありません!」
『いやいや、、それはありましたッて顔だよ。僕を心配してくれないんだ?
寂しいなぁ。大澤先生なら慰めてくれると思ってたのに、、』
そんな俊の言葉に、ついイラッとして余計な事を言ってしまう
「長嶋先生にお世話になったんですから、慰めていただけば
良いんじゃないですか」
『えッ、、そこ?』
カーッと頬を火照らせる私は嫉妬の言葉を口にしてしまった事を後悔した。
恥ずかしくて俊の顔は見る事もできない。
「ごめんなさい、何でもないです」
そう言ってドア口に向かおうとする私の腕を、俊が掴んで引き寄せて来た。
腕を突っぱねて逃げ出そうとしてみるも、身体に回された腕の力は思いのほか
力強い。
『落ち着けって!』
「だって、、」
『僕は薫しか見ていないから』
「嘘ッ」
『嘘はつかない』
そう言った俊が私の腰に腕を回し、ぐいと強く引き寄せた。
綺麗な俊の瞳の吸引力にあらがえなくて、私は身じろぎもできずに俊を見つめ返す。口を開こうとしてドアの向こうから人の気配に気づくと、慌てて俊の胸を押し返した。
検査技師が戻ってきたのだろう
そそくさと踵を返した私はその場から逃げるように去った。