if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
そのまま、更衣室に向かい着替えをしていると長嶋先生が顔を覗かせた。今は会いたくない人ナンバーワンだが仕方ない、会釈だけしてやりすごそうと思っていたのに、彼女は私の傍にわざわざやってくる。
嫌な雰囲気で私を見ているが、等々話しかけてきた。
「ねぇ、貴女って最近ウチに来た学長の娘さんよね?」
「、、はい、大澤です」
そう応えると、綺麗な顔に眉根を寄せて言う
「片瀬先生を狙ってるの?」
「はい?」
私はその表情に澪眉を寄せ、長嶋先生は、お為ごかしを発揮して飄々と語る
「でも、それ無理よ。片瀬先生って誰にも本気にならないらしいから。遊びならまぁイケるかもしれないけど。ああ、そうだわ。イイこと教えてあげる。私ね片瀬先生に夜デートに誘われてるの、うふふッ」
「本気にならない? そうですか」
そう言う私に、長嶋先生が口の端を上げて微笑む。そして、勝ち誇ったように言葉が続く。
「そうよ、でも私はそれだけじゃ終わらないけどね。だから、大澤先生は彼にちょっかい出さないで欲しいの。大澤先生はお嬢様だし、遊びじゃあまりにもお気の毒だから忠告しとくまでよ。 貴女は片瀬先生と同じチームだし、一緒にいるのは仕方ないけど、自分が特別だなんて思わないことね」
ぎく、と頬が引き攣った私に、彼女は一層笑みを深くする。
長嶋先生が更衣室を出ていくと私は大きなため息をつく。そして
「やっぱり、、私だけじゃない、嘘つきッ」と本音が口から零れた。