if...運命の恋~エリート循環器医は彼女を手放せない~
何だか涙が出そう。
何で、ちゃんと言ってくれなかったの? 涙で薄い膜ができる。
やっぱり、私、、俊のところに行かなくちゃ
「木村先生、ごめんなさい。停めてくれますか?」
「えッ? 薫先生、どうかしました?」
木村先生が路肩に車を停めてくれると私にそう聞いてきた
「・・・忘れ物、忘れ物をしてしまったんです」
「それじゃ一旦戻りましょう」
「いいえ、此処で下ろしてくれていいの、箱根までは電車で行くから
私の事は気にしないで行って下さい。 それじゃぁ」
助手席のドアを開け急いで車を降りた。
車外に出てからも木村先生が、何度も送りますよって言ってくれる
だけど、私は ”大丈夫だから”って その場から歩き出した
慶生大学病院に来てまだ1ヶ月そこらだ。
ここから病院までの距離がどれぐらいだなんて、私にわかるはずもなく
暫く歩いていたけど、とっても寒くて
おまけに空から冷たい雨も降って来た。
”うそ、まいったなぁ。タクシーも通らないし・・”
まだ雨は本降りではないけど、このままではびしょ濡れになりそう
とにかく街路樹の下に一時的に雨宿りをした。
それにしても私、病院で俊に会えるのだろうか?
シャワールームの話しを聞いて、あの日の事を思い出して
黙っていられない気持ちだけは確かなのに、どうすれば良いの?
答えを出さないまま行動してる
そんな自分自身の愚かさに、苦笑いしてしまう
私って、そんなに何も考えずに行動するタイプだったかしら?