御曹司の溺愛から逃げられません
中は小さなお店でショーウィンドウにはいくつかのタルトやショートケーキが並んでいた。一般的なケーキ屋さんとは違い、気持ち程度しか並んでおらず、店内にいるお客さんを見回すとほとんどの客がモンブランを頼んでいる様だった。
2人席へ案内されると私はもちろんモンブランを注文した。飲み物はストレートティーを頼むと課長も同じものを頼んでいた。

「中も絵本の中の様に可愛いな」

課長の呟く様な声が聞こえてきた。

「気まずいですか?」

客はほとんどが女性だったので尋ねると、笑って「そんなことはない」と返してくれた。
私はモンブランを作っているところが少しでも見えないかとキョロキョロしてしまう。
ショーウィンドウの後ろの壁にある小窓から男性が動く姿がチラチラ見えるが肝心な手元が見えない。
それでも視線が外せず、ずっとその小窓を覗き込んでいると中から女性のスタッフが出てきて私たちのテーブルにケーキを置いた。

「出来たてです。お早めにお召し上がりくださいね」

あからさまに課長の方を見ながら笑いかける女性を見て、うんうんと頷いてしまった。
女性ならこんなに見た目の整った顔をじっくりと見たいよね。
そんなことはどうでもいや。
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