御曹司の溺愛から逃げられません
コートを脱いだのでこの前買ってもらったニットワンピースが見えたのだろう。
あの時彼は陽気に店員さんと掛け合い、買っていたがこうして面と向かって褒められるとどうしたらいいのかわからない。

「あ、ありがとうございます」

彼は頷いていた。
もしかして照れてる?
なんでも卒なくこなす彼からは想像がつかない今の姿に胸が高鳴る。

「柴山は肌が白いからこういう色が似合う。会社に着てこないから気に入らなかったのかと思っていた」

つっけんどんな言い方だが、そんなのは気にならないくらい私は興奮していた。

「みんなに似合わないと言われたくなくて着ていけなかったんです。凄く気に入っているものを否定されたら悲しいので休みの日に着させてもらっています」

「そうか……」

私の顔も火照ってきて熱くなってきたが、彼の顔もまだ少しだけ赤いまま。
どうしようかと思っていたらちょうど料理が運ばれてきて助かった。
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