御曹司の溺愛から逃げられません
追いかけたい
翌朝、昨日よりもさらに早く7時半に出勤した。
まだ私にできる仕事はないのでせめて支店の時のように掃除くらいできたら、と思った。
エントランスを抜ける時、誰ともすれ違わずに役員フロアのある30階に着いた。
人がいない会社は空気がどことなく澄んでいて気持ちがいい。
秘書室に入るとまだ誰も来ていないようだ。
私は昨日案内されたデスクにバッグを置き、ジャケットを椅子にかけると早速給湯室のポットの電源を入れた。近くにあった布巾を濡らすとみんなのデスクを拭き始めた。グリーンにも水やりをし始めるとカチャっとドアの開く音がした。
振り返ると秘書室と繋がる社長室のドアが開き、中から瑛太さんが顔を出していた。
「お、おはようございます」
「おはよう。香澄は相変わらず早いんだな」
「社長もお早いんですね」
私は緊張した面持ちで話すと、彼は少し寂しげな表情を浮かべた。
「香澄。今は社長じゃない。まだ仕事前だろ」
そう言われても私にはあの頃のように朝の会話を楽しめるような関係ではなくなったと思えてしまう。
私の好きだった瑛太さんはもう遠く離れた存在になってしまった。
昨日の晩、いくら考えても彼と付き合い続けるのは無理だと思ったのだ。
「私は……一社員です。コーヒーをお淹れしましょうか?」
「香澄!」
彼が近寄ってくるのを感じ、私は一歩下がった。それを見て彼はこれ以上距離を詰めてくることはなかった。
まだ私にできる仕事はないのでせめて支店の時のように掃除くらいできたら、と思った。
エントランスを抜ける時、誰ともすれ違わずに役員フロアのある30階に着いた。
人がいない会社は空気がどことなく澄んでいて気持ちがいい。
秘書室に入るとまだ誰も来ていないようだ。
私は昨日案内されたデスクにバッグを置き、ジャケットを椅子にかけると早速給湯室のポットの電源を入れた。近くにあった布巾を濡らすとみんなのデスクを拭き始めた。グリーンにも水やりをし始めるとカチャっとドアの開く音がした。
振り返ると秘書室と繋がる社長室のドアが開き、中から瑛太さんが顔を出していた。
「お、おはようございます」
「おはよう。香澄は相変わらず早いんだな」
「社長もお早いんですね」
私は緊張した面持ちで話すと、彼は少し寂しげな表情を浮かべた。
「香澄。今は社長じゃない。まだ仕事前だろ」
そう言われても私にはあの頃のように朝の会話を楽しめるような関係ではなくなったと思えてしまう。
私の好きだった瑛太さんはもう遠く離れた存在になってしまった。
昨日の晩、いくら考えても彼と付き合い続けるのは無理だと思ったのだ。
「私は……一社員です。コーヒーをお淹れしましょうか?」
「香澄!」
彼が近寄ってくるのを感じ、私は一歩下がった。それを見て彼はこれ以上距離を詰めてくることはなかった。