目の前の幸せから逃げないで
10月から 鈴香が 仕事に戻って。
紗良ちゃんが 保育園に慣れるまでは
在宅や 時短勤務で いいって言っても
「大丈夫よ。ちょっとでも 事務所に 顔出すわ。」
と 毎日 出勤してくれた。
3人態勢が 落ち着いた 11月の初め。
「あのね、商品を 増やそうと思うんだけど。大丈夫?」
私は どうしても 取り引きしたい メーカーがあった。
SNOW BELLを スタートさせる為に
鈴香と フランスへ行った時から 気になっていたけど。
その時は 条件が合わなくて 私達は 諦めた。
でも、今なら メーカーの条件で 取り引きができる。
「何を始めるの?」
鈴香に聞かれて
「” ルシアン ” の商品を 売りたいの。」
「あぁ…由紀乃、気に入っていたものね。」
「うん。絶対、売れると思う。」
「いいんじゃない。やってみようよ。ハタ君、ページ増えるけど 大丈夫?」
鈴香が聞くと 光毅は 得意げな顔で 頷いた。
「大丈夫です。商品 届いたら 写真撮りも 手伝います。」
「頼もしいじゃない、ねえ 由紀乃。」
私に振られても 何て答えていいか わからなくて。
「まあね…」
と間抜けな返事をして 鈴香を 呆れさせた。