スパダリの秘密〜私の恋人はどこか抜けている〜
元々顔は整っており性格も良かったので、大樹はよくモテた。そんな彼が、サンフランシスコ支社に異動してから仕事に本腰を入れたことで頭角を現しはじめ、社内でも話題に上がるようになったのだ。容姿も整っている上に仕事もできる。さらには海外赴任経験者となれば、今の大樹は引く手あまただろう。
「もしかして惚れ直した?」
「何言ってるの。でもまあ、その軽いところ直したら、もっとモテるんじゃない?」
「俺が軽いのは見た目だけって知ってるだろ」
大樹の良いところは、見た目に反して恋人に一途なところだった。それは有紗もよくわかっていたが、ここで頷くのは躊躇われ口を噤む。
そんな二人のやり取りを見ていたゆかりは、助け舟を出そうと声をあげた。
「羽鳥くん、もう有紗口説いても意味ないよ~? 今は彼氏とラブラブだもんね?」
「ちょっと……!」
新しい恋人の存在を大樹に知られることよりも、会社でその話をすることに慌ててしまう。ゆかりの話を聞いた大樹はしばし目をぱちくりとさせ、状況を把握する。そして小さく息をついた。
「なんだよ、早く言えって。冗談でもダサいじゃん俺」
「いやいや、言うタイミングなかったでしょ」
「……まあ彼氏くらいいるよな」
「え?」
大樹が呟いた声はあまりに小さすぎて、有紗の耳には入らない。
「相手どんな? 有紗のことだからえらいハイスペックな男捕まえたんじゃねーの? 俺みたいな」
「それは――」
「そりゃもう最高に良い男だよね? 今の羽鳥くんですら敵わないかも」
「どんだけヤバいんだよそいつ! もはや人間じゃないとか?」
「もしかして惚れ直した?」
「何言ってるの。でもまあ、その軽いところ直したら、もっとモテるんじゃない?」
「俺が軽いのは見た目だけって知ってるだろ」
大樹の良いところは、見た目に反して恋人に一途なところだった。それは有紗もよくわかっていたが、ここで頷くのは躊躇われ口を噤む。
そんな二人のやり取りを見ていたゆかりは、助け舟を出そうと声をあげた。
「羽鳥くん、もう有紗口説いても意味ないよ~? 今は彼氏とラブラブだもんね?」
「ちょっと……!」
新しい恋人の存在を大樹に知られることよりも、会社でその話をすることに慌ててしまう。ゆかりの話を聞いた大樹はしばし目をぱちくりとさせ、状況を把握する。そして小さく息をついた。
「なんだよ、早く言えって。冗談でもダサいじゃん俺」
「いやいや、言うタイミングなかったでしょ」
「……まあ彼氏くらいいるよな」
「え?」
大樹が呟いた声はあまりに小さすぎて、有紗の耳には入らない。
「相手どんな? 有紗のことだからえらいハイスペックな男捕まえたんじゃねーの? 俺みたいな」
「それは――」
「そりゃもう最高に良い男だよね? 今の羽鳥くんですら敵わないかも」
「どんだけヤバいんだよそいつ! もはや人間じゃないとか?」