スパダリの秘密〜私の恋人はどこか抜けている〜
extreme changes
◇
いつもと同じ時間に、スマートフォンのアラームが鳴り響き体を起こす。
しかしながら、今日は“何か”が違っていた。
「あれ……?」
必ずと言ってもいいほど、自分に巻きついているはずの慶汰がいない。
昨夜、慶汰が残業を終えて帰宅したのは深夜一時頃。有紗は帰りを待たずに寝てしまったため、帰って来ていないのではないかと疑った。
しかしながら、ドアの向こうで微かに物音が聞こえ、すぐにリビングへと向かった。
「あ、おはよう」
「おはよう。何、してるの……?」
有紗がリビングへ向かうと、キッチンで作業していた慶汰が涼しい顔で迎えてくれる。
どうやら朝食を作っていることはすぐにわかったが、見慣れない光景に有紗は思わず問いかけた。
「朝ごはん、たまには俺も作ろうかなって。もうできるから顔洗ってきたら」
「朝ごはんって……慶汰さん朝帰りだったの? もしかして寝てない?」
「何で? ちゃんと夜のうちに帰って一緒に寝たけど」
「だって……」
慶汰がこんなに早起きをするはずがない。しかも残業で寝不足なら尚更だ。
疑問に思いながらも、ひとまず切り替えるために、有紗は洗面所へと向かった。
◇
簡単に身だしなみを整えた有紗がリビングに戻る頃を見計らって、慶汰は朝食を並べていた。
促されるままにダイニングテーブルへと足を向けると、既に並べられていた料理に有紗は驚きの声をあげた。
「へっ……な、にこれ……」
「有紗ガレット好きじゃなかった? たまに駅前の店一緒に行くだろ」