スパダリの秘密〜私の恋人はどこか抜けている〜
extreme changes




 いつもと同じ時間に、スマートフォンのアラームが鳴り響き体を起こす。
 しかしながら、今日は“何か”が違っていた。

「あれ……?」

 必ずと言ってもいいほど、自分に巻きついているはずの慶汰がいない。

 昨夜、慶汰が残業を終えて帰宅したのは深夜一時頃。有紗は帰りを待たずに寝てしまったため、帰って来ていないのではないかと疑った。

 しかしながら、ドアの向こうで微かに物音が聞こえ、すぐにリビングへと向かった。

「あ、おはよう」
「おはよう。何、してるの……?」

 有紗がリビングへ向かうと、キッチンで作業していた慶汰が涼しい顔で迎えてくれる。

 どうやら朝食を作っていることはすぐにわかったが、見慣れない光景に有紗は思わず問いかけた。

「朝ごはん、たまには俺も作ろうかなって。もうできるから顔洗ってきたら」
「朝ごはんって……慶汰さん朝帰りだったの? もしかして寝てない?」
「何で? ちゃんと夜のうちに帰って一緒に寝たけど」
「だって……」

 慶汰がこんなに早起きをするはずがない。しかも残業で寝不足なら尚更だ。

 疑問に思いながらも、ひとまず切り替えるために、有紗は洗面所へと向かった。




 簡単に身だしなみを整えた有紗がリビングに戻る頃を見計らって、慶汰は朝食を並べていた。

 促されるままにダイニングテーブルへと足を向けると、既に並べられていた料理に有紗は驚きの声をあげた。

「へっ……な、にこれ……」
「有紗ガレット好きじゃなかった? たまに駅前の店一緒に行くだろ」
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