スパダリの秘密〜私の恋人はどこか抜けている〜
 あっさりとふくらみに達して、柔らかな玩具で遊ぶように弄ぶ。
 気が付けば、下半身に慶汰の手のひらとは違う熱を感じて、有紗は体を震わせた。

「ねえ、起きてるよね? 寝ぼけた振りしないで」
「うーん、有紗のせいだけど」
「そ、そういう意味じゃなくて……」
「まだ出るまで時間あるし、したい」
「~っ! しない! 夜にしたでしょ!」
「朝でも夜でも関係ないさ」

 慶汰の底なしの性欲に呆れ、有紗はベッドを飛び出す。まるで付き合いたての恋人同士のような会話ではあるが、この会話はここ数カ月毎朝繰り広げられている。

「とにかく、起きて! 朝は仕事に切り替えるの!」
「……はいはい、わかったよ」

 不満げに唇を尖らせる慶汰は、有紗よりも四つも年上なのに子供のようだ。布団を剥ぎ大きな子供の腕を引けば、彼はのそりと起き上がった。

「まったく、今までどうやって生活してたの?」
「うーん、目覚まし十個くらいかけるとか」
「かけすぎ! 私も毎朝大変だから、そろそろちゃんと起きてね?」

 朝が弱く、さらに朝一番で誘惑してくる慶汰を宥めベッドから引っ張り出すのが有紗の役目。

 仕事でこそひとつもミスせず、誰よりも優秀である彼は、とにかく私生活が少しだらしない。おかげで二人はまだ付き合って半年ほどだというのに、有紗が週のほとんどを慶汰のマンションに転がり込む形で半同棲をしていた。

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