星芒
とんとん、
彼女が俺の肩をたたく。
「どうしたの?」
“泣かないで”
彼女は眉を下げて俺を見る。
なんのことかわからなかった。
「泣いてねーし」
それより、その顔辞めてくれ。
心配そうにこちらを見つめる瞳。
俺はお前にそんな顔をさせたいわけじゃない。
頼むから
頼むから
その顔で俺を見るな。
“蒼空っていうの?いい名前!”
“蒼空!こっち!ねこいるよ!”
“んんー。美味しい!蒼空のご飯は世界一!”
“蒼空!早く行かないと遅れる!早くおきてー!”
“見て!蒼空!虹でてる!!”
“蒼空!”
“蒼空”
“そら”
“蒼空、私ね……”
“誰、ですか……?”
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