キラリの恋は晴れのち晴れ!
第3話 一つのベッド
三人が帰宅してリビングテーブルを囲んで談笑していたとき、この家の主であるキラリの父、小山内清(おさないきよし)が帰って来た。
玄関の方から
清「ただ~いま~!」
と、陽気な声できらり達に声をかけてリビングに入ってきた。
薫「パパお帰り~!」
キラリ「父ちゃんお帰り~!」
翼「父ちゃんお疲れ様~!」
と、翼まで自然に声をかけていた。キラリの父もそれに全く疑いなく
清「おぉ、ありがとう!今日も大変だったわ!ウチの従業員が下ろす荷物を間違えちゃってさぁ、得意先に謝りに行ってしばらく説教食らっちまったわ。ハハハハハッ!」
翼「父ちゃんも大変だね」
清「そうなんだよ…社長になればけっこう気楽にやれるかと思ったんだけどよ…なかなか社長ってのは大変な役回りなんだなぁ…あん時はけっこう社長に対して好き勝手言ってさぁ…社長の苦労も知らねぇで、本当に悪いことしたなぁ…」
翼はその言葉が胸に刺さる思いだった。
そして清がようやく翼の存在に気付き、薫の腕を引っ張ってキッチンの方へと向かった。
清「ねぇねぇ、かおりん…ウチってさぁ…確か三人家族だったよねぇ…」
薫「は!?何言ってんの?しばらく見てないから息子の顔忘れた!?」
清「む…息子!?息子!?!?!?えーと…」
薫「翼じゃん!就職で地方行っちゃったから忘れちゃった!?ひどーい!」
キラリ「父ちゃん…酷いよ…そんな…兄ちゃんのことを忘れちゃうなんて…」
キラリは目薬を差してきて、めから一筋涙がこぼれているかのように演技していた。
そして翼も悪ノリして悲しそうな表情で清をじっと見つめている。
清「いやいやいやいや…ちょっと待って…あぁ!思い出した!ごめんごめん…翼…うん…思い出したぞ!もう十年ぐらいになるかな?そりゃ忘れてもしょうがないだろ?いや…しょうがないことはないか…いや…あの…」
翼「父ちゃん、俺まだ22だから…十年前はまだ小学生だったろ?」
清の頭の中はパニックになっていた。
えぇ…息子?翼?22?えーと…俺が結婚したのは確か20年前で…今俺は22才で…いや、違う違う違う…俺が22才なんじゃ無くて…えーと…え!?息子!?
薫「パパ…もういい加減目を覚まして!ウチにはこんなイケメンの息子なんて居なかったでしょ!?」
清「うん…居なかった…ウチの息子はこんなイケメンじゃ…いや、違う違う違う…そもそも息子なんて…」
翼はキラリの言っていた言葉の意味が理解出来た。
かなりヤバイレベル…なるほど…あのキラリがまだマトモにさえ見えてしまう…
唯一の救いはこの美人ママが普通ってとこか…
~キラリの部屋~
キラリ「あんた!あれほど母ちゃんには口の聞き方気を付けなって言ったのに!」
翼「いや、全然普通に挨拶してくれたじゃん」
キラリ「あのとき、私めっちゃヒヤヒヤしたんだからね!ウチの母ちゃんマジでキレたらヤバイんだって!」
翼「つーかさ、風呂入りてぇ…ちょっと風呂入ってくるわ」
キラリ「お前よぉ…少しは遠慮ってものがねぇのかよ…」
翼「だってお前のベッドで寝るのに汚いまんまじゃお前だって嫌だろ?」
キラリ「は…はぁ!?お前なに勝手なことを言ってんだよ!本気か!?本気で私のベッド使う気!?」
翼「あぁ、だって俺、布団無いと寝れないし…」
キラリ「いや…布団ならそこに敷けば良いだろ!」
翼「ん?まさかお前…俺にそこで布団敷いて寝かせて、自分はちゃっかりベッド占領するつもりだったの!?」
キラリ「いやいやいやいや…ちょ…ちょっと待て…それは普通私のセリフ…」
キラリは額に手をあてうなだれている。
コイツ…いったいどういう育ち方したらそんな自分勝手な考え方出来んだ?
キラリ「いいか?ここは私の家!私の部屋!だから私のベッドに寝ていいかを決めるのは私!あんたは…い…いそうろう?なんだからどこで寝るかは私が決める」
翼「じゃあ一緒に寝るか?」
キラリ「は…はぁ!?お前何血迷ったこと言ってんだよ!男と女が一つのベッドで一緒に寝るってことは、つまり…そういう関係のある男女っていうか…!お前の発言一つ一つがビックリするわ!」
翼「俺は別に構わねぇぜ!そういうの慣れてるし」
キラリ「慣れてるし!?はぁ!?お前…それ…どういう意味だよ?私とお前はまだ………そういう深い関係じゃ…」
翼「あ?何言ってんだお前?俺はただ人のベッドで寝るのは慣れてるって言ってるだけだぞ?」
キラリ「えぇ!?お前…
まさか…
そういう…
人が居るのか?」
キラリは嫉妬に燃え狂っていた。
翼「まぁ…わりと…」
キラリ「わりと!?お…お前…見損なったぞ!」
翼「何で?」
キラリ「な…何でって…」
翼「お前もしかして…ヤキモチ焼いてんの?」
キラリ「ち…違うわ!な…何でお前なんかにヤキモチ焼かなきゃなんねぇんだよ!私はただ…」
翼「ただ?何だよ?」
キラリ「ただ………」
私だけの王子様で居て欲しかったっていうか…
キラリ「お前…
もう…
出てけよ…」
翼「何でだよ!今から出てったらもう泊まるとこ探すの難しいじゃん!」
キラリ「だって…一緒に寝る女とか…居るんだろ?」
翼「は?女居るなんて言ってねぇだろ?」
キラリ「え?だってさっき」
翼「それより風呂行ってくるから、一緒に寝るのが嫌だったら布団敷いとけよ!」
キラリ「あっ…ちょっ…結局どっちなんだよ!」
翼はキラリのその問いが聞こえたか聞こえなかったのか、部屋を出て下に降りて行ってしまった。
あいつ…本当に彼女とか…居ないのかな…
玄関の方から
清「ただ~いま~!」
と、陽気な声できらり達に声をかけてリビングに入ってきた。
薫「パパお帰り~!」
キラリ「父ちゃんお帰り~!」
翼「父ちゃんお疲れ様~!」
と、翼まで自然に声をかけていた。キラリの父もそれに全く疑いなく
清「おぉ、ありがとう!今日も大変だったわ!ウチの従業員が下ろす荷物を間違えちゃってさぁ、得意先に謝りに行ってしばらく説教食らっちまったわ。ハハハハハッ!」
翼「父ちゃんも大変だね」
清「そうなんだよ…社長になればけっこう気楽にやれるかと思ったんだけどよ…なかなか社長ってのは大変な役回りなんだなぁ…あん時はけっこう社長に対して好き勝手言ってさぁ…社長の苦労も知らねぇで、本当に悪いことしたなぁ…」
翼はその言葉が胸に刺さる思いだった。
そして清がようやく翼の存在に気付き、薫の腕を引っ張ってキッチンの方へと向かった。
清「ねぇねぇ、かおりん…ウチってさぁ…確か三人家族だったよねぇ…」
薫「は!?何言ってんの?しばらく見てないから息子の顔忘れた!?」
清「む…息子!?息子!?!?!?えーと…」
薫「翼じゃん!就職で地方行っちゃったから忘れちゃった!?ひどーい!」
キラリ「父ちゃん…酷いよ…そんな…兄ちゃんのことを忘れちゃうなんて…」
キラリは目薬を差してきて、めから一筋涙がこぼれているかのように演技していた。
そして翼も悪ノリして悲しそうな表情で清をじっと見つめている。
清「いやいやいやいや…ちょっと待って…あぁ!思い出した!ごめんごめん…翼…うん…思い出したぞ!もう十年ぐらいになるかな?そりゃ忘れてもしょうがないだろ?いや…しょうがないことはないか…いや…あの…」
翼「父ちゃん、俺まだ22だから…十年前はまだ小学生だったろ?」
清の頭の中はパニックになっていた。
えぇ…息子?翼?22?えーと…俺が結婚したのは確か20年前で…今俺は22才で…いや、違う違う違う…俺が22才なんじゃ無くて…えーと…え!?息子!?
薫「パパ…もういい加減目を覚まして!ウチにはこんなイケメンの息子なんて居なかったでしょ!?」
清「うん…居なかった…ウチの息子はこんなイケメンじゃ…いや、違う違う違う…そもそも息子なんて…」
翼はキラリの言っていた言葉の意味が理解出来た。
かなりヤバイレベル…なるほど…あのキラリがまだマトモにさえ見えてしまう…
唯一の救いはこの美人ママが普通ってとこか…
~キラリの部屋~
キラリ「あんた!あれほど母ちゃんには口の聞き方気を付けなって言ったのに!」
翼「いや、全然普通に挨拶してくれたじゃん」
キラリ「あのとき、私めっちゃヒヤヒヤしたんだからね!ウチの母ちゃんマジでキレたらヤバイんだって!」
翼「つーかさ、風呂入りてぇ…ちょっと風呂入ってくるわ」
キラリ「お前よぉ…少しは遠慮ってものがねぇのかよ…」
翼「だってお前のベッドで寝るのに汚いまんまじゃお前だって嫌だろ?」
キラリ「は…はぁ!?お前なに勝手なことを言ってんだよ!本気か!?本気で私のベッド使う気!?」
翼「あぁ、だって俺、布団無いと寝れないし…」
キラリ「いや…布団ならそこに敷けば良いだろ!」
翼「ん?まさかお前…俺にそこで布団敷いて寝かせて、自分はちゃっかりベッド占領するつもりだったの!?」
キラリ「いやいやいやいや…ちょ…ちょっと待て…それは普通私のセリフ…」
キラリは額に手をあてうなだれている。
コイツ…いったいどういう育ち方したらそんな自分勝手な考え方出来んだ?
キラリ「いいか?ここは私の家!私の部屋!だから私のベッドに寝ていいかを決めるのは私!あんたは…い…いそうろう?なんだからどこで寝るかは私が決める」
翼「じゃあ一緒に寝るか?」
キラリ「は…はぁ!?お前何血迷ったこと言ってんだよ!男と女が一つのベッドで一緒に寝るってことは、つまり…そういう関係のある男女っていうか…!お前の発言一つ一つがビックリするわ!」
翼「俺は別に構わねぇぜ!そういうの慣れてるし」
キラリ「慣れてるし!?はぁ!?お前…それ…どういう意味だよ?私とお前はまだ………そういう深い関係じゃ…」
翼「あ?何言ってんだお前?俺はただ人のベッドで寝るのは慣れてるって言ってるだけだぞ?」
キラリ「えぇ!?お前…
まさか…
そういう…
人が居るのか?」
キラリは嫉妬に燃え狂っていた。
翼「まぁ…わりと…」
キラリ「わりと!?お…お前…見損なったぞ!」
翼「何で?」
キラリ「な…何でって…」
翼「お前もしかして…ヤキモチ焼いてんの?」
キラリ「ち…違うわ!な…何でお前なんかにヤキモチ焼かなきゃなんねぇんだよ!私はただ…」
翼「ただ?何だよ?」
キラリ「ただ………」
私だけの王子様で居て欲しかったっていうか…
キラリ「お前…
もう…
出てけよ…」
翼「何でだよ!今から出てったらもう泊まるとこ探すの難しいじゃん!」
キラリ「だって…一緒に寝る女とか…居るんだろ?」
翼「は?女居るなんて言ってねぇだろ?」
キラリ「え?だってさっき」
翼「それより風呂行ってくるから、一緒に寝るのが嫌だったら布団敷いとけよ!」
キラリ「あっ…ちょっ…結局どっちなんだよ!」
翼はキラリのその問いが聞こえたか聞こえなかったのか、部屋を出て下に降りて行ってしまった。
あいつ…本当に彼女とか…居ないのかな…