キラリの恋は晴れのち晴れ!
第43話 翼との別れの予感
キラリは翼があまりにも動揺する姿を見て、何かただ事ではないことが翼の身の回りに起きたことを直感した。
キラリ「翼?」
キラリは翼の顔を覗き込み心配そうに声をかけたのだが、翼の耳には届いて無いかのように神妙な顔付きで一点を見つめている。
キラリ「翼?大丈夫?」
と、再びキラリが翼に声をかけると、我に返ったように翼がキラリを見つめた。
翼「キラリ………悪い………ちょっと出てくる………」
翼の顔色が悪く、どこか悲しげに見えた。
キラリ「翼………戻って………来るよね?」
キラリはもう二度と翼に会えなくなるような気がして咄嗟(とっさ)にそう聞いていた。
翼「キラリ……心配するな……………すぐに戻ってくるよ……」
翼は淋しそうな顔でそう言ったので、キラリは余計に心配になった。
翼が軽装に着替えて出ていく姿を、キラリは少し遠目から見送っている。
翼は外に出てから再び姉に電話をかけた。
翼「もしもし?どこに行けばいい?」
姉「この前の喫茶店に来れる?」
翼「わかった……」
二人は以前キラリと居合わせたことのある喫茶店で落ち合った。
~喫茶店~
姉「翼、けっこう待った?」
翼「そうでもないさ……」
姉「翼………お父さんは兄さんの後釜としてあんたを強引に会社に引き入れるつもりよ!きっとその時は手段を選ばないと思うわ」
翼「だろうな………弟は捕まらないだろうし、俺しか居なくなっちまったもんな………」
姉「どうするつもり?」
翼「どうするも何も………俺には全くその気は無いけど………でも親父は簡単に諦めてくれるような性格でも無いからな………」
姉「気を付けてね、翼………これから兄さんの容態見に行く?」
翼「いや……行きたいけど……もし親父達と出くわしてしまったら……」
姉「そっか……サヨナラ言いたい人が居るんだね?」
そして翼はできる限りの明るい表情を装って小山内家に戻って来た。
キラリ「翼………良かった………もう会えないかと思ってた………」
翼「何をそんな心配してんだよ………」
キラリ「だって………」
翼「キラリ……………もし………俺が突然居なくなったら寂しいか?」
キラリ「え……………別に……………寂しくは無いけど……………でも……今まで散々からかわれた分やり返してやらなきゃ………」
翼「そっか………寂しくはないか………」
いつになく翼の表情が哀愁漂う感じがしたのでキラリの不安が加速する。
キラリ「翼?本当に居なくなっちゃうの?」
翼は優しくも寂しげな表情でキラリにニコッと笑って見せた。
翼「キラリ………」
そう言っていきなり翼がキラリを抱き締めた。
翼……………どこにも行かないでよ………ずっと一緒に居たから………急に居なくなったりしたら寂しいよ………
~それから二週間後~
実は翼の兄、颯(はやて)は、交通事故で意識不明の重体となっていて、颯は還らぬ人となってしまった。そして翼の父は、早々に颯の後釜を翼にするべく、既に動き出していた。
翼が一人で買い物に出歩いていると、いきなり黒服姿でサングラスをかけた強面の男二人が翼の両脇にピタリと付き、そしてこう言った。
黒服の男「翼様……会長がお呼びですので一緒にご同行お願いします」
翼はついに来たかと言わんばかりの表情で、逆らうこともせず黙って付いて行った。
翼が連れて来られた場所は、翼の父の所有する本社ビルの一室であった。
黒服の男が部屋のドアをノックする。
〝コンコン〟
黒服の男「会長、翼様をお連れしました」
翼の父「入ってくれ」
〝ガチャ〟
黒服の男がドアを開けて翼が部屋に通され、黒服の男は廊下で待機する。
翼の父「久しぶりだな。颯のことは既に聞いているか?」
翼は返事もせず父を睨んでいる
父「まぁそう恐い顔をするな」
翼の父が高級な本革張りのソファに座るよう促したが、翼は座ろうともせず睨み続けている。
父「なぁ、翼………颯が亡くなって私の後継者が居なくなってしまった以上、もはやお前しか居らんのだよ………お前の気持ちは私も十分理解しているつもりだ。だから、お前が望む好きなポストを与える。その代わり、いずれはお前が私の会社を継いでもらわねばならん」
翼は黙って何も言わない。
父「お前がこの会社の経営者としての準備期間として、大学を卒業したらすぐにここに来てもらいたい。しかし、悠雅(ゆうが)のように失踪されては困るのだよ………だから………それまではお前を軟禁する」
翼「何を勝手なこと言ってんだよ!いつもいつもそうだよな!俺達の意思なんて何も尊重してくれず、自分の物のように何でも勝手に決めやがって!だから悠雅だって息苦しくて離れて行ったんだろ!」
父「まぁ、落ち着け!私もお前の気持ちを考慮して色々と譲歩することも視野に入れてる。お前が我が社を継いでくれるのならお前の望みも聞き入れるつもりだ。Y社の歩実お嬢様の件だって目を瞑るつもりだ」
翼「あぁ?あいつは俺の前で無礼な態度を取ったから言い返しただけだぞ!」
父「しかし歩実お嬢様は、ウチのグループの大事な令嬢なんだ。その歩実お嬢様に大変無礼を働いたことは、今回少し大事になった。以前にも、歩実お嬢様とのトラブルで色々と気を揉んだが、全て解決したのは誰だった?本来ならこの責任は重いものだったんだがな………」
キラリ「翼?」
キラリは翼の顔を覗き込み心配そうに声をかけたのだが、翼の耳には届いて無いかのように神妙な顔付きで一点を見つめている。
キラリ「翼?大丈夫?」
と、再びキラリが翼に声をかけると、我に返ったように翼がキラリを見つめた。
翼「キラリ………悪い………ちょっと出てくる………」
翼の顔色が悪く、どこか悲しげに見えた。
キラリ「翼………戻って………来るよね?」
キラリはもう二度と翼に会えなくなるような気がして咄嗟(とっさ)にそう聞いていた。
翼「キラリ……心配するな……………すぐに戻ってくるよ……」
翼は淋しそうな顔でそう言ったので、キラリは余計に心配になった。
翼が軽装に着替えて出ていく姿を、キラリは少し遠目から見送っている。
翼は外に出てから再び姉に電話をかけた。
翼「もしもし?どこに行けばいい?」
姉「この前の喫茶店に来れる?」
翼「わかった……」
二人は以前キラリと居合わせたことのある喫茶店で落ち合った。
~喫茶店~
姉「翼、けっこう待った?」
翼「そうでもないさ……」
姉「翼………お父さんは兄さんの後釜としてあんたを強引に会社に引き入れるつもりよ!きっとその時は手段を選ばないと思うわ」
翼「だろうな………弟は捕まらないだろうし、俺しか居なくなっちまったもんな………」
姉「どうするつもり?」
翼「どうするも何も………俺には全くその気は無いけど………でも親父は簡単に諦めてくれるような性格でも無いからな………」
姉「気を付けてね、翼………これから兄さんの容態見に行く?」
翼「いや……行きたいけど……もし親父達と出くわしてしまったら……」
姉「そっか……サヨナラ言いたい人が居るんだね?」
そして翼はできる限りの明るい表情を装って小山内家に戻って来た。
キラリ「翼………良かった………もう会えないかと思ってた………」
翼「何をそんな心配してんだよ………」
キラリ「だって………」
翼「キラリ……………もし………俺が突然居なくなったら寂しいか?」
キラリ「え……………別に……………寂しくは無いけど……………でも……今まで散々からかわれた分やり返してやらなきゃ………」
翼「そっか………寂しくはないか………」
いつになく翼の表情が哀愁漂う感じがしたのでキラリの不安が加速する。
キラリ「翼?本当に居なくなっちゃうの?」
翼は優しくも寂しげな表情でキラリにニコッと笑って見せた。
翼「キラリ………」
そう言っていきなり翼がキラリを抱き締めた。
翼……………どこにも行かないでよ………ずっと一緒に居たから………急に居なくなったりしたら寂しいよ………
~それから二週間後~
実は翼の兄、颯(はやて)は、交通事故で意識不明の重体となっていて、颯は還らぬ人となってしまった。そして翼の父は、早々に颯の後釜を翼にするべく、既に動き出していた。
翼が一人で買い物に出歩いていると、いきなり黒服姿でサングラスをかけた強面の男二人が翼の両脇にピタリと付き、そしてこう言った。
黒服の男「翼様……会長がお呼びですので一緒にご同行お願いします」
翼はついに来たかと言わんばかりの表情で、逆らうこともせず黙って付いて行った。
翼が連れて来られた場所は、翼の父の所有する本社ビルの一室であった。
黒服の男が部屋のドアをノックする。
〝コンコン〟
黒服の男「会長、翼様をお連れしました」
翼の父「入ってくれ」
〝ガチャ〟
黒服の男がドアを開けて翼が部屋に通され、黒服の男は廊下で待機する。
翼の父「久しぶりだな。颯のことは既に聞いているか?」
翼は返事もせず父を睨んでいる
父「まぁそう恐い顔をするな」
翼の父が高級な本革張りのソファに座るよう促したが、翼は座ろうともせず睨み続けている。
父「なぁ、翼………颯が亡くなって私の後継者が居なくなってしまった以上、もはやお前しか居らんのだよ………お前の気持ちは私も十分理解しているつもりだ。だから、お前が望む好きなポストを与える。その代わり、いずれはお前が私の会社を継いでもらわねばならん」
翼は黙って何も言わない。
父「お前がこの会社の経営者としての準備期間として、大学を卒業したらすぐにここに来てもらいたい。しかし、悠雅(ゆうが)のように失踪されては困るのだよ………だから………それまではお前を軟禁する」
翼「何を勝手なこと言ってんだよ!いつもいつもそうだよな!俺達の意思なんて何も尊重してくれず、自分の物のように何でも勝手に決めやがって!だから悠雅だって息苦しくて離れて行ったんだろ!」
父「まぁ、落ち着け!私もお前の気持ちを考慮して色々と譲歩することも視野に入れてる。お前が我が社を継いでくれるのならお前の望みも聞き入れるつもりだ。Y社の歩実お嬢様の件だって目を瞑るつもりだ」
翼「あぁ?あいつは俺の前で無礼な態度を取ったから言い返しただけだぞ!」
父「しかし歩実お嬢様は、ウチのグループの大事な令嬢なんだ。その歩実お嬢様に大変無礼を働いたことは、今回少し大事になった。以前にも、歩実お嬢様とのトラブルで色々と気を揉んだが、全て解決したのは誰だった?本来ならこの責任は重いものだったんだがな………」