キラリの恋は晴れのち晴れ!
第60話 明るい兆し
翼の父はゆっくりと黒塗りの高級車から降りてスタスタとキラリと凛花の方へ向かって歩きだす。
その姿は正に品のある紳士であった。
キラリ達は背後から不意に声をかけられたことに驚きながら振り向く。
翼の父「あの~、ちょっと宜しいですか?」
凛花「はい……」
凛花は怪訝(けげん)な面持ちで返事をした。
翼の父「あっ、わたくしまだメジャーデビューしてないインディーズバンドを発掘してプロデュースする会社の代表取締役の者でして、いつもはスカウト専門の者が若い世代を中心に街頭インタビューをして回るのですが、たまに生の声を聞きにわたくし自らフラッと街中を歩くことがありまして……
そうしたら目の前にお嬢さんが素晴らしい神対応をするのを目にしたものですから声を掛けさせて頂きました。
いやぁ、素晴らしかった!」
翼の父は感服したといった表情でキラリを見つめている。
キラリは恥ずかしくなり、顔を赤くして口をモゴモゴさせている。
翼の父「お嬢さんは何故あんなに手際良く動けたんですか?どなたかお知り合いにあぁいった方が?」
キラリ「いや……別に……そういうわけじゃないけど……いつも母ちゃんから困ってる人が居たら助けるように小さい頃から言われてて……クセ?みたいなもんかな……」
翼の父「なるほど、そういう時はとっさに身体が動くということかな?
ところで、話しは変わるがお嬢さん達は音楽やバンドには興味はありますか?」
凛花「あるけど~……そんなに詳しくはないよねぇ?」
凛花はキラリの顔を見ながらそう言った。
キラリ「うーん……めちゃくちゃ音楽大好きって言うほど詳しくは無いかな……」
翼の父「では、この辺で活動しているインディーズの〝フラップ・フリーリー〟というバンドは聞いたことあります?」
キラリと凛花がその名前を聞いた瞬間お互い目を合わせて
キラリ・凛花「それ!!」
と思わず興奮気味に同時に叫んだ。
翼の父「ほう!〝フラップ・フリーリー〟はご存知でしたか。実はわたくし共もこのバンドは前から目をつけていて、機会があればメジャーデビューに向けてプロデュースしていきたいと考えていたところで……」
キラリは浮かない顔つきで目を伏せた。
翼の父「どうされました?ヴォーカルの翼はご存知かな?」
キラリ「オジサン……そのフラップ・フリーリーは今活動休止してるよ……」
凛花「そうなの!今はその翼が……」
翼の父「翼が……どうされました?」
凛花「翼が行方不明でバンドは解散の危機に直面してるの……」
翼の父「ほほう……もう少し詳しくお聞かせ願えるかな?
そうだ、ここで立ち話もなんだから喫茶店かファミレスでどうでしょう?」
キラリ「いいよ……」
キラリと凛花は、目の前にいるこの男こそが全ての真実を知っている存在だとはつゆほども思わずにいた。
~喫茶店~
三人は近くの喫茶店に入り、テーブルに着き飲み物をオーダーした。
翼の父「それで?翼はどうして行方不明になったのかな?」
翼の父は全く知らないフリをして聞いた。
キラリ「多分……だけど……翼はお金持ちの家の息子で、家を飛び出してしばらくの間ウチで居候してたんだ。それで……」
キラリは翼と会えなくなってしまったことを思い、急に泣きそうな表情になりうつ向いてしまった。
そして凛花が代わりに口を開く。
凛花「翼はきっと亡くなったお兄さんの代わりに会社を継ぐように言われて連れ戻されたんだと思うの。きっと強制的に……」
翼の父「なるほど、それで突然居なくなってしまってバンドも活動休止か……」
そこへオーダーした飲み物が運ばれ、一旦会話が止まる。
翼の父は一口コーヒーを飲んでから
翼の父「お嬢さんは随分と翼が居なくなって落胆しているようだが、何か特別な思い入れでもおありか?」
キラリ「……………」
翼の父はキラリの顔を覗きこむ。
キラリの目にはうっすら涙が浮かぶ。
キラリ「私は……………翼のことが………」
なかなか言い出せないキラリを見るに見かねて翼の父が
翼の父「翼のことが……好きだったんだね?
それで?どうしたら会えるのか……悩んでいるわけか」
キラリはうつ向いて何も喋らなくなってしまった。
翼の父「実はね、翼の父とは多少の縁があって、もし本当に君にその気があるのならだけど、私から直接翼の父に話をしてあげても良いのだが……」
その言葉を聞いた瞬間、キラリはクリクリの目を更に大きく見開いて今にも目玉が飛び出さんばかりになりながら身を乗り出して
キラリ「オジサン!!それ本当!?」
と、静かな店内には場違いな大きな声を上げていた。
翼の父はそれに圧倒され、思わず辺りを見回して周りの客達の自分達に突き刺さる視線を察して小さくなっていた。
翼の父「ま、まぁ落ち着きたまえ……」
そう言って向かい側の席から身を乗り出しているキラリの肩を抑えて座らせた。
翼の父「だけどだね、それには少し厳しい条件を呑んでもらう必要があるよ!何せ翼の家の稼業は大企業のグループのトップに位置する会社だから、翼とずっと一緒に居たいと思うのなら、それ相応の品格が問われることになるんだ。それはわかってもらえるよね?」
キラリ「品格……………って何だ?」
その姿は正に品のある紳士であった。
キラリ達は背後から不意に声をかけられたことに驚きながら振り向く。
翼の父「あの~、ちょっと宜しいですか?」
凛花「はい……」
凛花は怪訝(けげん)な面持ちで返事をした。
翼の父「あっ、わたくしまだメジャーデビューしてないインディーズバンドを発掘してプロデュースする会社の代表取締役の者でして、いつもはスカウト専門の者が若い世代を中心に街頭インタビューをして回るのですが、たまに生の声を聞きにわたくし自らフラッと街中を歩くことがありまして……
そうしたら目の前にお嬢さんが素晴らしい神対応をするのを目にしたものですから声を掛けさせて頂きました。
いやぁ、素晴らしかった!」
翼の父は感服したといった表情でキラリを見つめている。
キラリは恥ずかしくなり、顔を赤くして口をモゴモゴさせている。
翼の父「お嬢さんは何故あんなに手際良く動けたんですか?どなたかお知り合いにあぁいった方が?」
キラリ「いや……別に……そういうわけじゃないけど……いつも母ちゃんから困ってる人が居たら助けるように小さい頃から言われてて……クセ?みたいなもんかな……」
翼の父「なるほど、そういう時はとっさに身体が動くということかな?
ところで、話しは変わるがお嬢さん達は音楽やバンドには興味はありますか?」
凛花「あるけど~……そんなに詳しくはないよねぇ?」
凛花はキラリの顔を見ながらそう言った。
キラリ「うーん……めちゃくちゃ音楽大好きって言うほど詳しくは無いかな……」
翼の父「では、この辺で活動しているインディーズの〝フラップ・フリーリー〟というバンドは聞いたことあります?」
キラリと凛花がその名前を聞いた瞬間お互い目を合わせて
キラリ・凛花「それ!!」
と思わず興奮気味に同時に叫んだ。
翼の父「ほう!〝フラップ・フリーリー〟はご存知でしたか。実はわたくし共もこのバンドは前から目をつけていて、機会があればメジャーデビューに向けてプロデュースしていきたいと考えていたところで……」
キラリは浮かない顔つきで目を伏せた。
翼の父「どうされました?ヴォーカルの翼はご存知かな?」
キラリ「オジサン……そのフラップ・フリーリーは今活動休止してるよ……」
凛花「そうなの!今はその翼が……」
翼の父「翼が……どうされました?」
凛花「翼が行方不明でバンドは解散の危機に直面してるの……」
翼の父「ほほう……もう少し詳しくお聞かせ願えるかな?
そうだ、ここで立ち話もなんだから喫茶店かファミレスでどうでしょう?」
キラリ「いいよ……」
キラリと凛花は、目の前にいるこの男こそが全ての真実を知っている存在だとはつゆほども思わずにいた。
~喫茶店~
三人は近くの喫茶店に入り、テーブルに着き飲み物をオーダーした。
翼の父「それで?翼はどうして行方不明になったのかな?」
翼の父は全く知らないフリをして聞いた。
キラリ「多分……だけど……翼はお金持ちの家の息子で、家を飛び出してしばらくの間ウチで居候してたんだ。それで……」
キラリは翼と会えなくなってしまったことを思い、急に泣きそうな表情になりうつ向いてしまった。
そして凛花が代わりに口を開く。
凛花「翼はきっと亡くなったお兄さんの代わりに会社を継ぐように言われて連れ戻されたんだと思うの。きっと強制的に……」
翼の父「なるほど、それで突然居なくなってしまってバンドも活動休止か……」
そこへオーダーした飲み物が運ばれ、一旦会話が止まる。
翼の父は一口コーヒーを飲んでから
翼の父「お嬢さんは随分と翼が居なくなって落胆しているようだが、何か特別な思い入れでもおありか?」
キラリ「……………」
翼の父はキラリの顔を覗きこむ。
キラリの目にはうっすら涙が浮かぶ。
キラリ「私は……………翼のことが………」
なかなか言い出せないキラリを見るに見かねて翼の父が
翼の父「翼のことが……好きだったんだね?
それで?どうしたら会えるのか……悩んでいるわけか」
キラリはうつ向いて何も喋らなくなってしまった。
翼の父「実はね、翼の父とは多少の縁があって、もし本当に君にその気があるのならだけど、私から直接翼の父に話をしてあげても良いのだが……」
その言葉を聞いた瞬間、キラリはクリクリの目を更に大きく見開いて今にも目玉が飛び出さんばかりになりながら身を乗り出して
キラリ「オジサン!!それ本当!?」
と、静かな店内には場違いな大きな声を上げていた。
翼の父はそれに圧倒され、思わず辺りを見回して周りの客達の自分達に突き刺さる視線を察して小さくなっていた。
翼の父「ま、まぁ落ち着きたまえ……」
そう言って向かい側の席から身を乗り出しているキラリの肩を抑えて座らせた。
翼の父「だけどだね、それには少し厳しい条件を呑んでもらう必要があるよ!何せ翼の家の稼業は大企業のグループのトップに位置する会社だから、翼とずっと一緒に居たいと思うのなら、それ相応の品格が問われることになるんだ。それはわかってもらえるよね?」
キラリ「品格……………って何だ?」