気付けよ
電車を降りてから少しバスに乗って到着したのは、緑溢れるアニマルパークだ。

バスに揺られて、乗り物酔いする樹音が心配だったが、大丈夫そうで安心した。

「わぁ、いるいる~」
園内に入ると、ひつじを発見した樹音が俺を急かすように手を引っ張るが、それがすげぇ嬉しくて、お前になら振り回されても構わねぇ、などと思ってしまう。

「や~ん。可愛い~」
樹音はひつじに満面の笑みを向けて頭を撫でまわしている。
ひつじになりてぇ……とバカなことを考えながら、俺は夢中になって餌やりをしている樹音の横顔をじっと見つめた。

「徹もあげなよ」と樹音が無邪気な笑顔を向けてきたが、俺はお前を見てるほうが何倍も楽しい。

「あーっ! あっちにやぎもいる~! 行こうよ」
不意に樹音に強く手を握られ、ドキッとした。

子供みたいにはしゃぐ樹音が可愛すぎて、俺はプッと吹き出した。

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