俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
翔さんは、はぁーと深いため息を吐いて話し出す。

「俺の親の事なんだけど…
実は、堀井コーポレーションって会社を経営していて、父親が3代目の社長になる。

俺自身は、世に言う御曹司ってヤツで会社を継ぐべく育てられた様なものだ。

ただ、俺は親の為の一つの駒にはなりたく無くて、親の言いなりに生きる息苦しさから逃げ出したくて、勘当同然に家を出て、今の会社を立ち上げて独立した。

それでもしばらくは、親の影が大きすぎて3、4年は御曹司の戯言だって、直ぐに立ち行かなくなって戻ってくるって思われていた。

やっと親から離れて、俺自身を周りが認め始めたのはここ1、2年なんだ。」

堀井コーポレーション…って
よくTVのCMで流れる、マンションとかビルとかを手掛ける大手企業だって事は私でも分かる。

その会社の社長さんがお父さんで、
翔さんは御曹司⁉︎
世界が違い過ぎて事の重大さが良く分からない…。

だけど、翔さんは私と一緒に笑ってくれて、美味しい物を分け合って幸せだって言ってくれる。
私の事をいつも心配して、大事にしてくれて…どんなに離れてても会いに来てくれる。

「翔さんは翔さんです。
どんな立場であろうとも無かろうとも、
私の目の前にいる翔さんを信じています。

私が、世の中の人から見たら翔さんに相応しくないのは、重々承知してますけど…
翔さんが必要としてくれる限り、離れたいとは思いません。」

不意に抱きしめられいた腕が緩んだかと思うと、身体をくるっと回されて向い合う。
頬を撫でられ抱きしめられる。
「ありがとう、ありがとう…果穂、愛してる。」

私も翔さんの広い背中に手を回してしがみ付く。
「私も大好きです。」

そう言うと、頬に暖かい手が置かれ顔を仰がれ目線が合う。
優しく微笑んだかと思うと唇が重ねられる。優しく深く、絡められ舐められ、
導かれ息が乱れて与えられる快楽に酔いしれる。

「唇が冷たい、車の中に戻ろう。」
そう言われるまで、夢見心地のふわふわした頭で翔さんを見ていた。

車に戻り、翔さんはエンジンをかける。

「そろそろ果穂を家に帰さないと、亮太に怒られるな。」
そう言って笑って車を出す。

「明日、みかんの収穫手伝いに行ってもいいか?」
ふと、翔さんが言うからびっくりする。

「えっ⁉︎明日ですか、本気ですか?
外寒いですよ?
結構汚れますし、それに脚立とか登って怪我でもされたら大変です。」

「果穂だって毎日やってるんだろ?
果穂に出来て俺に出来ない訳は無い。
運動神経はある方だし、これでも体力には自信があるから心配するな。」
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