俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
10時近くに家まで送ってくれた翔さんは、
また明日と、玄関先までわざわざ送ってくれて手を振って分かれた。

また明日があるのが嬉しい。

明日が終わったら、今度会えるのは…
…冬休み。

そんなに遠くない未来にまた会えるから大丈夫。
寂しくない。と、自分に言い聞かせる。

それぞれの生活があって、それぞれ違う生き方をしている私達はどうあったって一緒に居られる時間は少ない。

兄と父をみかん畑を置いて東京に行ける訳もない。

翔さんはゆくゆく自分がこっちに来るような事を言ってくれたけど、現実問題それは難しいだろう。

沢山の社員が許す訳ないし会社は彼を必要としてる。

私がここで生きる事を認めてくれてる様に、翔さんも東京で生きる事で輝いているんだと思う。

でも、もう離れる事も難しい。

大好きを通り越して、これが愛してるって言う事なのかな。

東京に行きたいなんて行ったら、お兄ちゃん泣いちゃうかな……。

そう思いながらベッドに入る。
翔さんからのおやすみのメッセージがスマホに届く。

明日は風が緩やかな、暖かい日になりますように。と、翔さんの為に思う。

『おやすみなさい。明日は暖かい日でありますように。』
< 129 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop