俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
18時45分東京着。

順調に行けば改札口を通り抜けてプラットホームまで迎えに行ける。

果穂とは1週間程前に会ったばかりなのに、
どうしてこうも彼女にはいつも会いたいと思うのか、自分がどれだけ彼女に惹きつけられているのかを自覚する。

このまま一緒に有休を使って休みたいものだとまで思う。

道は帰宅ラッシュで若干混み、抜け道を通って何とか間に合った。

小走りで改札口を抜け、階段を駆け上がり果穂が乗る新幹線が到着するプラットホームへ急ぐ。

昨夜聞き出した、指定席の車両番号を頭で思い出しながら番号を探す。
良かった、ぎりぎり間に合った。

そのタイミングで新幹線は到着して乗客が次々と降りてくる。
彼女の降りて来るだろう番号の車列を見つけ、降りて来る人の波を目で追う。

彼女が、大きめのキャリーケースを重そうに転がしながら降りて来るのが目に止まる。
俺はここまで迎えに来て良かったと思いながら早歩きで近寄る。

「果穂!」
名前を呼ぶとびっくりした顔をして歩みを緩めて俺を探す。
後ろから来たサラリーマンが邪魔そうに、
彼女にぶつかりながら通り越して行くのが見えた。

そいつの胸ぐらを掴み怒鳴りたい衝動に駆られるがひと睨みして気持を抑え、彼女の居る場所に急ぐ。

「大丈夫か?」
「翔さん⁉︎」
駆け寄って来る俺を見て、びっくりして見上げてくる彼女に微笑みながら、キャリーケースを奪う様に掴む。彼女の背を優しく押して、人混みを避ける為ひとまず自販機前に移動する。

「お疲れ様。元気だった?」
そう言って、そっと彼女の白い頬に触れて、思わず存在を確かめる。

頬がポッとピンクに染まるのが可愛くて、
人目も憚らず抱きしめてしまう。
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