俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
「うー、うーー。」
何とか声を出してこの口のガムテープを剥がして欲しいと訴える。

「何ですか?
ガムテープを取りますから決して大きな声を出さないで下さい。従わないと痛い目にあいますよ。」
目隠しをしているので、ハッキリとは分からないが、頬に冷たい金属が当たる。
カッターの様な鋭い感じを受けてビクッと心が揺れ、怖気づく。

こくんこくんと頷く。
だけど彼の手が僅かに震えている。

口を押さえていたガムテープを剥がされ、乱れた息を整える。

「あの、高見沢さん…
まんまと、捕まった私が言うのも何ですが…
この計画は失敗も同然だと思います。

余りにも考えが浅はかで、自分勝手過ぎると思いませんか?
 翔さんは、私が目の前から消えたからって、簡単に他の女性になびくような人ではありません。

多分、私の事を見つけるまで必死で探すだろうし、既に貴方と先程の女性との繋がりにたどり着いているのかもしれません。
お父様に連絡を入れれば直ぐに分かる事でしょう?

私の事を、無事に翔さんの元へ返してくれれば、翔さんは貴方のことを助けてくれると思います。

それにお金なら、翔さんの味方になった方がよっぽど綺麗なお金をもらえる筈ですよ。」

必死に彼の心に訴えかける。
何とか彼を説得して、無事に帰らなければ…
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